自転車の交通ルール。横断歩道は走行していいの? ~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.10】
車道を通行しているときは、そのまま直進!
相談者:「横断歩道」が「歩道」ではないということは、自転車は「横断歩道」を自由に通行していいということなのでしょうか? 芳仲弁護士:「自由に」というのは無理でしょうね。確かに、道交法上、自転車は一義的に「横断歩道」を通行できないことにはなっていません。しかし例えば、「車道」を走行してきた自転車が、そのままのスピードで、突然、横断歩道を走行するというようなことは、事故を誘発しかねない危険な運転とみなされます。 相談者:それは危険ですね。 芳仲弁護士:はい。ちなみに道交法は、以下の通り、「交差点」をあくまで「車道」の交わる部分と定義しています。 【交差点の定義】 交差点:十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路(歩道と車道の区別のある道路においては、車道)の交わる部分をいう(道交法2条1項5号) つまり、多くの場合、「横断歩道」は道交法上の「交差点」の外にあることになります。そのため、「車道」を走行してきた自転車が交差点にさしかかって「横断歩道」を通行して道路を横断しようとすれば、いったん「車道」を左折するか路外に出る(歩道に上がる)必要があります。この場合、あらかじめ「車道」の左側端に寄って「徐行」することが必要です(道交法25条)。 相談者:「徐行」をしないと違反になってしまうのですね。 芳仲弁護士:その通りです。また、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、路外出入りのための左折等もできません(道交法25条の2)。よほど充分に安全に配慮して徐行運転しない限り、「車道」を走行してきた自転車がそのまま「横断歩道」を通行することは困難でしょう。 相談者:無理に「横断歩道」を渡らない方がいいのでしょうか? 芳仲弁護士:自転車は軽車両ですから、自転車に乗って「車道」を通行するときは車道左側端を走行することが必要です(道交法18条1項)。そして、車道左側端を走行してきた自転車が、交差点を直進しようとする場合、自転車横断帯が設けられていればそこを走行する必要があり、自転車横断帯がないときは、いたずらに進路変更することなく車道の左側端をそのまま、交差点の向こう側まで直進することが基本です。最近は、青色矢羽根のピクトグラムなど交差点内で自転車が走行すべき進路が路面標示されていますので、安心して交差点を通行することが可能になってきました。(青色矢羽根については、次回記事で解説予定) 相談者:わかりました。自転車に乗ったまま横断歩道を通行すること自体は禁止されていないが、あくまで例外的に歩道走行を許された自転車が歩道を走行してきて交差点を横断する場合が想定されている。横断歩道を横断する際には歩行者等の通行を妨げないように注意しなければならない。そして、原則どおり車道を通行して交差点を直進する場合は、車道の左側端を真っ直ぐに進むのが基本なのですね! 解説ありがとうございました。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (公財)日弁連交通事故相談センターでは、電話による交通事故無料法律相談を実施しています。 TEL:0120-078325 平日10:00~16:30(第5週を除く水曜は19:00まで延長) https://n-tacc.or.jp ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
文=弁護士・芳仲美恵子