【毎日書評】「犬は怒られてもぜんぜん反省していない」は嘘?本当?
犬は人のがんを早期発見することができる
警察犬、救助犬、麻薬探知犬などは、人間の最新技術でも太刀打ちできない優秀な嗅覚を発揮して、私たちに多くの恩恵を与えてくれています。それどころか近年の研究では、犬が人の病気を早期発見してくれる能力を持っていることもわかってきたのだそうです。 とくに注目されているのは、人間の呼気(吐いた息)や尿の匂いから早期のがんを発見するように訓練された「がん探知犬」。 2004年にイギリスで行われた研究では、一般の家庭犬に膀胱がん患者の尿の匂いを嗅ぎ分けるように訓練し、7検体のうち一つのみが膀胱がん患者の尿という条件で、嗅ぎ分けの実験を行いました。 犬に嗅ぎ分けの能力がなければ、患者の尿を選ぶ確率は統計学上7分の1(14%)になるはずですが、結果は計54回中22回の成功(確率41%)と高い成功率でした。 また、2006年にアメリカで行われた研究では、一般の家庭犬に肺がんと乳がんの患者の呼気と健康な人の呼気を区別する訓練を行い、肺がん患者55人、乳がん患者31人、健康な人83人を対象に嗅ぎ分けの実験をしました。(34~35ページより) その結果、肺がんについては感度(病気の人を検出する能力)、特異性(健康な人を検出する能力)ともに99%、乳がんは感度88%、特異性98%と、非常に高い精度を示したのだといいます。これは驚くべき結果だといえるのではないでしょうか? しかも、そればかりではなく、2015年にイタリアで行われた研究においても見逃せない結果が出たようです。2頭の犬で前立腺がん患者の尿の嗅ぎ分けの実験を行ったところ、1頭の犬は感度100%、特異性98.7%、もう1頭の犬が感度98.6&、特異性97.6%と、こちらも非常に高い嗅ぎ分け能力を絞めず結果になったというのです。 これらの結果のみならず、犬がさまざまながんを嗅ぎ分けられるという研究結果は続々と報告されているようです。 そのため現在では、「犬が、がんを嗅ぎ分ける仕組み」そのものについても研究が進められているそう。普通に犬と遊んでいるだけでは想像もつかないような話ですが、犬の持つ嗅覚によって特定の物質の存在が明らかになれば、がん治療が大きく前進することになるかもしれません。(34ページより) 愛犬とのよりよい関係を築くためにもっとも重要なのは、犬のことを正しく理解すること。しかし本書をいちど読んでおくだけで、接し方や生活環境が改善され、お互いの幸福度が高まるはずだと著者は太鼓判を押しています。愛犬とともにより幸せになるために、手にとってみてはいかがでしょうか? >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: ワニブックスPLUS新書
印南敦史