【毎日書評】「犬は怒られてもぜんぜん反省していない」は嘘?本当?
犬は怒られても反省しない
犬が悪さをしたときに叱ると、目を逸らしたり、うつむいて上目遣いをしたり、伏せてじっとしたりといった仕草を見せることがあります。いかにも反省していそうに見えますが、犬は本当に罪の意識を持ったり、反省したりできるのでしょうか? この点に関し、興味深いトピックが紹介されています。動物の認知行動学の研究者であるアレクサンドラ・ホロヴィッツが、犬が反省しているように見える仕草について、次のような実験をしたというのです。 「飼い主と犬、数グループをおやつが用意された別々の部屋にそれぞれ待機させる→おやつを食べないように犬に指示し、飼い主が部屋の外へ→実験者は飼い主が部屋に戻った際に犬がおやつを食べていたら叱るように指示(犬がおやつを食べなかった場合は実験者がこっそり隠す)」(16ページより) もしも犬が叱られて反省するなら、冤罪をこうむった犬は“反省の仕草”を見せないはず。ところが結果的にはどちらの場合でも“反省の仕草”を見せたというのです。そののちも同様のテーマについてさまざまな研究が行われたようですが、いずれの場合も同じような結果が得られたそう。 そのため現在では、「犬の反省しているように見える仕草」は、(飼い主が叱ったことに対して犬が)恐怖や不安を表す反応と結論づけられているのだといいます。 人も犬も、善悪の判断をする能力については脳の前頭葉が担っています。人は前頭葉が非常に発達していて、大脳皮質のおよそ30%も占めていますが、犬の場合は7%と非常に少ないため、犬に道徳心や倫理観、善悪の判断を求めるのは非常に困難といえます。(17ページより) つまり犬を叱りつけることは、単に飼い主への恐怖心を抱かせるだけにすぎないということ。だとすれば、互いの関係が悪化する可能性も否定できません。 だからこそ大切なのは、「してほしくないこと」が起きないような環境設定や対応を心がけ、「してほしいこと」をほめてしつけること。それが信頼関係の構築につながっていくわけです。(16ページより)