過剰政府債務、25年に市場揺るがす恐れ=BIS報告書
[ロンドン 10日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告書を公表し、急増する政府債務による金融市場の不安定化の脅威が強まっていると指摘し、経済的損失を防ぐために政策立案者に迅速な対応をするよう呼びかけた。 BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は、過剰な政府債務が債券市場の混乱を引き起こし、他の資産にも波及する恐れがあると警告した。 「金融市場は増大する政府債務を吸収しなければならないことを認識し始めている」とした上で、「政策立案者の政策調整には時間がかかり、市場が目覚めるのを待っていると手遅れになる」と述べた。 国際金融協会(IIF)によると、各国政府の財政赤字増大で、公的債務が2028年までに3割以上増え、130兆ドルに近づく可能性がある。 トランプ次期米大統領が掲げる減税案で、すでに36兆ドルに達する米債務はさらに8兆ドル近く膨らむとみられている。 BISの報告では、フランスの財政赤字を巡る政局の混乱や日本の財政拡張の動きも「財政懸念の再燃」の要因として挙げた。 世界の国債や社債などの動きに影響する米10年債利回りは今年9月以来、約56ベーシスポイント(bp)上昇し、4.22%近辺で推移している。 米国債の投資環境は、国債の供給過剰と、景気刺激策によるインフレという2つの危険に直面しており、今年に入ってBISが公的債務に警告を発した時点よりも「今の方が心配すべき理由が増えている」とボリオ氏は言及した。