関学大が善戦もアメフット日本一を決めるライスボウルは社会人が12年連続V…大会の是非を真剣に議論すべき時期に
ハーフタイム。 「どうにかなる。勝てるやろう、というのが集団心理としてあった」と考えていたオービックの大橋誠ヘッドコーチが檄を飛ばす。 「目を覚まして、1プレー、1プレーしっかりやろう。富士通とXJB(ジャパンXボウル)でやりあったことを思い出せ!」 ディフェンス陣は、前半の問題点の修正を確認。オフェンス陣は、「きょう何しにきたのか、どういうオフェンスをしにきたのかをあらためた。ラインを整理しパスユニットの誰があいているか、もう一度確認して後半にのぞんだ」(MVPのWR野崎貴宏)という。 後半に一変したオービックは第3Qから怒涛の攻撃を見せる。QBジミー・ロックレイからWR野崎への53ヤードのロングTDパスを通すと、今度は、WR西村有斗が49ヤードの独走TD。さらにロックレイからのパスを受けたTEホールデン・ハフが、そのまま突っ走って、チーム5本目のTDを決めて、12-35とし勝負を決めた。 関学は、1Qが従来の15分から12分に時間短縮された今回のルールを効果的に使おうとワイルドキャットフォーメーションを多用して時計を進めた。 大橋ヘッドを「さすが関学さんだなと。思い切ったことをしないと勝機がないが、それをやりきるのが、関学さん。学生チャンプのチームの底力を感じた」と驚嘆させた。相手が戸惑っている間にできる限りリードを奪っておきたかったが、関学は、前半に、先制TDのあとTFPを止められ、パントもブロックされて、得点につなげられるなどのミスを犯していた。大村監督が、「前半は上出来だったが、後半は(オービックの)目がなれてきて、ディフェンスがアジャストされ地力の差が出た。後半、もう少しパス(攻撃を)我慢してもよかったが、ああいう展開になるとラインの差が出てしまう。ランプレーはほぼ止めたが、1対1の実力差から自分らのアジャストミスで失点していく。シーズンを通して詰め切れなかった」と、淡々と降り返ったように最後は地力の差が出た。 エースQB奥野も「3本のTDはオフェンスラインが頑張ったこともあるが、三宅と前田の個人技。社会人に勝つとなると基礎的なことにプラス、ズバ抜けた個人能力が必要と思った。僕に足りなかったものはスピード」と社会人との差を認めた。 一方の勝者の大橋ヘッドは「心底ほっとした」という。 それはXリーグ覇者は学生王者に負けるわけにはいかないという使命感だ。ゆえにXリーグの優勝を決めたジャパンXボウルの勝利とは「高揚感が違う」とまで言う。 関学は善戦したが、これで社会人が12連勝。善戦したことが話題になるようでは、そこに勝負論は存在しない。ライスボウルの存在意義が問われる。 大村監督は、ハッキリと廃止論を主張した。 「力の差がありすぎ。安全面を考えると、もう必要ないと思っている。ひと昔前と比べてXリーグのレベルが数段上がっている。ガチンコで(勝負)するのはちょっと難しい」 オービックの先発には、外国人選手がオフェンス、ディフェンスにそれぞれ2人。加えてRBの李卓が世界で11人しかいないインターナショナル・プレーヤー・パスウェー・プログラム参加メンバーの1人に選ばれ、NFLへの挑戦権を手にした。今季から加入したオフェンスラインの中軸を担う庄島辰尭は、NCAAディビジョン1 フットボール・サブディビジョンに属するカリフォルニア大ロサンゼルス校でプレーしていたスーパーだ。実際、この日のゲームで関学の選手は3人も試合中の怪我により担架でフィールド外に運ばれた。