木野花が思う「男だ、女だ」の前に必要なこと…知られざる”青森のナイチンゲール”の存在
NHK連続テレビ小説『虎に翼』に関する投稿がネットにあふれ、今と大きく変わらない当時の女性たちの声に驚きと共感が広がっている。主人公・寅子のモデルとなった日本初の女性弁護士、三淵嘉子さんのように、戦中戦後をたくましく生き抜き、さまざまな社会的弱者の権利を訴え、今の時代へとバトンを渡した女性は数多い。 【写真】『虎に翼』梅子が家族を捨てた理由と、花江が家族を支える理由の共通点 彼女と同じ1914年(大正3年)生まれの花田ミキさんもそのひとりだ。青森に生まれ育ち、「青森のナイチンゲール」と評された彼女の実話をもとにした映画『じょっぱり』が公開された。主演を務めた木野花さんは、花田さんの生き方に自らを重ねながら今の心境を話してくれた。 きの・はな プロフィール 青森県出身。弘前大学教育学部を卒業後、公立中学校の美術教師となるも1年で退職、上京し演劇の世界に入る。1974年、女性だけの劇団「青い鳥」を結成。以後80年代小劇場ブームの旗手的な存在となる。86年同劇団を退団。演出家として2023年『阿修羅のごとく』で読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。女優として2019年『愛しのアイリーン』でキネマ旬報助演女優賞を受賞。2024年『バカ塗りの娘』で日本映画批評家大賞ゴールデン・グローリー賞を受賞。主演映画『じょっぱり』が7月2日(火)より東京都写真美術館、イオンシネマ新青森 イオンシネマ弘前 ほか全国順次ロードショー。公式サイトhttps://hanadamiki.com。
「いよいよ青森の時代が来た!」と気合が入った
昨年、読売演劇大賞・優秀演出家賞を受賞した演出家の木野花さんは、これまでも俳優として数多くの作品に出演してきた。ドラマや映画でも、まるで実在するかのようなしっかりとした存在感が印象に残る。連続テレビ小説前作の『ブギウギ』で、福来スズ子を助ける家政婦「大野さん」を演じたことも記憶に新しい。 「私は青森育ちで、津軽弁が大好きなんです。故郷の方言はきっと誰でも愛しいものですが、中でも津軽弁は歌うようなイントネーションが味わい深く、気持ちが豊かに伝わってくると思っています。全国の人に津軽弁を聞いてほしい、青森のことを知ってほしいと思い、津軽弁の役や青森を舞台にした作品を待ち構えているのですが、待っているとこれがなかなか来ないものです。 でもここ2年ほどは、昨年の映画『バカ塗りの娘』(バカ塗り=津軽塗)、ドラマ『ブギウギ』、そして最新作の映画『じょっぱり』と、なぜか青森が舞台の作品や津軽弁の役が続いて、どれも喜んでお引き受けしました。いよいよ青森の時代が来たぞ!とうれしくて、気合も入りましたね」