吉原のサラブレッド『べらぼう』主人公・蔦屋重三郎。父は「丸山」母は「廣瀬」なのに、なぜ「蔦屋」かというと…
1月5日から、2025年NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の放送がスタートします。横浜流星さん演じる本作の主人公は、編集者や出版人として江戸の出版業界を支えた“蔦重”こと蔦屋重三郎です。重三郎とは、いったいどんな人物なのでしょうか?今回は、書籍『べらぼうに面白い 蔦屋重三郎』をもとに、重三郎マニアの作家・ツタヤピロコさんに解説をしていただきました。 【書影】江戸出版界の礎を築き上げた“蔦重”のすべてがわかる!ツタヤピロコ『べらぼうに面白い 蔦屋重三郎』 * * * * * * * ◆蔦屋重三郎って何もの? 蔦屋重三郎は、1750年(寛延3年)1月7日に、江戸の吉原(いまの東京の浅草)で生まれました。当時の吉原は、江戸で一番大きな歓楽街でした。売春が目的の遊郭という名前のお店を集めてできた町。それが吉原です。 周りは田んぼに囲まれていて、大きくて四角い形をした土地に、数えきれないほどの遊郭が連なっています。ほかの地域とはっきり区別するためや、働いている遊女のお姉さんたちが逃げ出すことができないように、出入り口としては大きな門が一つだけしかありませんでした。 有名な吉原には、江戸といわず日本中からお客さんが集まり、毎日とても賑わっていたといいます。 風俗街でしたが、そこにあるのはもちろん遊郭だけではありません。食堂もお茶屋さんもあったし、使用人の人たちが暮らす家もありました。現実世界とは違う快楽の街でありながらも、ごくごく普通の人たちの暮らしもあったというわけです。ちょっと不思議な空間ですね。 江戸幕府は、この吉原を公認していたので、歓楽街の中でも、比較的安全な地域だったといえます。その証拠に、吉原にくるのは、遊女を買うお客さんだけではなく、遠くから旅行にきた人たちや女性も多くいました。吉原は、風俗街であり、日本の一大観光地でもあったわけです。 ややアンダーグラウンドな世界に生まれたといえる重三郎は、いまでいうと危険な香りのするオシャレな不良といったところでしょうか。モテそうです。いずれにせよ、華やかな大都会吉原に生まれたことは、今後の重三郎の人生において大きな力となっていくのです。
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