困ったときには泣くばかりで、思いを言葉でうまく伝えられない園児 原坂一郎の子育て相談
■Q 保育園で年長クラスの担任をしています。クラスの中に発達が少し気になる女の子がいます。彼女は困ったときに、泣くことで自分の思いを表現することが多く、言葉で言ってくれないので対応が難しいときがあります。要支援児の認定などは受けていないので、小学校では普通学級に通うと思います。これから、泣かずに自分の言葉で思いを伝えられるようにしていくにはどうすればよいでしょうか? ■A このような相談をされる時点で、普段から子供一人一人を大切にされていることがうかがえます。彼女に就学までに何とか自分の気持ちを言葉でうまく伝えられるようになってほしいのですよね。 「彼女が泣いているときは困っているとき」。それが分かるだけでもたいしたものです。そんなとき、「泣いていたら分からないから言葉で言ってごらん」という人もいますが、優しい口調で言ったとしても、それは酷というもの。それができないから泣いているのです。 赤ちゃんは、笑うことで「快」の気持ちを伝え、泣くことで不快感を伝えます。世のお母さん方は、その泣き方ひとつで何で泣いているかが分かることが多く、うまく対応しています。理由が分からないときは抱っこをしたり、体をトントンとたたいたり、優しい言葉をかけたりしています。 彼女が泣いたときも、厳密に理由を探る必要はないと思います。その都度、あなたの優しさを伝えましょう。軽く抱きしめたり、優しい言葉をかけたりするだけでも、あなたへの信頼感は募り、やがて理由も言えるようになることが期待されます。 普段も、彼女が何か話すたびに、「本当」「へえ」など、なんらかの「返事」をし、今は、自分の言葉が伝わる喜びをたくさん経験させてあげてほしいです。(こどもコンサルタント) ◇原坂一郎(はらさか・いちろう) 23年間の保育士勤務を経て平成16年から、こどもコンサルタントとして研究・執筆・講演活動を行う。日本笑い学会理事。自他共に認める怪獣博士でもある。 子育てに関する悩みを「原坂一郎先生へ」と記してお寄せください。原坂先生が回答します。
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