1秒間に716日が過ぎる! 自転が最速の中性子星の1つ「4U 1820-30」を発見
1秒間に716回転もしていることが判明!
Jaisawal氏らは、NICERによって捉えられた4U 1820-30のX線バースト、合わせて15回分について、観測データを詳細に検証しました。その結果、15回すべてで振動が捉えられていました。全てのX線バーストで光球が中性子星表面から50km以上に拡大し、最大のものは902kmまで拡大していることが分かりました。 モンテカルロシミュレーションにより、X線バーストからは716Hzの振動が見つかりました。これは自転周期に対応するため、4U 1820-30は1秒間に716回も自転していることになります。これは1回の自転にたった0.00140秒しかかかっていないことになります。これに匹敵する自転速度を持つ天体は、同じく1秒間に716回転していると2006年に判明した中性子星「PSR J1748-2446ad」しかありません。4U 1820-30はPSR J1748-2446adと並び、知られている中で最も高速で自転する天体の1つとなります。 中性子星は、しばしば1秒未満の周期で自転することで知られていますが、ここまで自転周期が短いものは例外的な存在であり、自転速度を加速する原因はよく分かっていません。X線バーストは加速するためのエネルギー源の候補ではあるものの、正確な影響は中性子星の物性を正確に評価する必要があります。 NICERによる今回の分析結果は、謎の多い中性子星の性質に迫る研究の一環であり、超高速で自転する中性子星の発見は偶然の副産物と言えます。 Source Gaurava K. Jaisawal, et al. “A Comprehensive Study of Thermonuclear X-Ray Bursts from 4U 1820–30 with NICER: Accretion Disk Interactions and a Candidate Burst Oscillation”.(The Astrophysical Journal) Gaurava Kumar Jaisawal & Jerome Chenevez. “DTU-forskere finder en af universets hurtigst roterende stjerner”.(Danmarks Tekniske Universitet)
彩恵りり / sorae編集部