大黒摩季さんが愛車歴を初披露! 赤いアウディから始まったアーティストらしいカーライフとは? ZARD・坂井泉水さんとの知られざるエピソードも
オープンカーは風を感じる装置
大黒さんはその後、3台のSLを乗り継いだ。黒いR109型のあとは4代目の「R129型」、5代目の「R230型」と、一世代ずつ新しいモデルを選んでいる。今回、撮影のために用意したのは1992年式のR129、大黒さんが乗っていたのとおなじシルバーのボディカラーだ。 「そう、これよ! あらためて見るとキュンとしちゃう。角ばったミラー、大きいハンドル、重たいアクセル。いまどきのクルマみたいに超快適という訳じゃないけど、このゴツゴツした感じが好きなの。でもハンドルがよく切れるから、都内の細い道でも小回りがきいて運転しやすかったな。最初のSLはハードトップを外してオープンにするのが大変だったから、『屋根を開けるのは自動がいいな』って思って。このSLは自動だから、風を感じたいときはすぐに開けていましたね」 大黒さんの話には、よく“風”というワードが出てくる。大黒さんにとってクルマとは、風を感じるための装置なのかもしれない。そしてその“風に吹かれる”感覚は、彼女の楽曲のもつ疾走感、根底に流れる明るくポジティブなメッセージにも通じている。 「私のMVやライブは、“TM Revolutionの西川貴教か大黒か”と、言われるぐらい常に風が吹いているイメージ(笑)。北海道は高い建物がないから、いつだって風が吹き抜ける。そういう土地で育ったから風が好きなんです。煮詰まったときは、窓を開けて風を浴びるだけでもインスピレーションが降りてくる」 2000年代以降、大黒さんには公私ともにさまざまな転機が訪れる。オープンカーを3台乗り継いだクルマ選びにも変化が表れる。そんな大黒さんの愛車ストーリーは後編で。
大黒摩季(おおぐろまき)
北海道札幌市出身。アーティストを目指して上後、スタジオ・コーラスや作家活動を経て、1992年「STOP MOTION」でデビュー。1995年にリリースしたベストアルバム「BACK BEATs #1」は300万枚を超えるセールスを記録する。2010年病気治療のためアーティスト活動を休業。その間、地元・北海道の長沼中学校に校歌を寄贈、東日本大震災により被災した須賀川小学校への応援歌・歌詞寄贈など社会貢献活動のみおこなっていた。2016年8月、ライジングサン・ロックフェスティバルでの出演を皮切りに、故郷である北海道からアーティスト活動を再開。2022年6月からデビュー30周年を記念した全国47都道府県ツアーを開催し、全73本を完走。楽曲リリースはもちろん、ミュージカルやテレビ出演、今年に入ってからは、令和6年能登半島地震被災地へのチャリティライブを行い、自ら義援金を持って能登半島を訪問するなど精力的な活動を続けている。 文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) ヘア&メイク・森山由佳子 スタイリング・内田孝昭 編集・稲垣邦康(GQ) 撮影協力・ヤナセ クラシックカー センター