【オーストラリア】労働生産性0.8%低下、「コロナバブル」崩壊
オーストラリアの生産性委員会が9月30日に発表した四半期報告書によると、労働生産性は今年第2四半期(4~6月)に前期比で0.8%低下した。労働時間が1.1%増加し、生産量の0.2%の伸びを上回ったことが要因。新型コロナウイルス流行中は生産性が大きく上昇していたが、現在はコロナ前の2015~19年の平均水準まで落ち込んでおり、生産性の「バブル」は完全に崩壊したとみられる。 市場部門では前期比0.7%低下、非市場部門(医療や社会福祉、教育、行政など)では0.9%低下となった。 市場部門の16業界のうち、半数で生産性の向上が見られた。芸術・レクリエーションが7.6%上昇と最も大きく伸び、これに電気・ガス・水道・廃棄物サービスが6.1%上昇で続いた。一方生産性が最も下がったのは事務・支援サービスで4.2%低下し、次いで小売りが3.6%低下となった。全体の生産性低下への寄与度では、小売りがマイナス0.3ポイントと最も大きかった。 労働時間の増加は、昨年第3四半期(7~9月)と第4四半期(10~12月)の減少傾向から一転した。就業者数が0.8%増え、1人当たりの労働時間が0.3%増加したことが要因で、事務・支援サービスや小売り、教育・訓練が特に大きく伸びた。 ■構造的な問題あり 新型コロナ流行前と比べ、現在は労働参加率が高水準で失業率が低いなどマクロ経済状況は異なっている。生産性委員会のロブソン副委員長は「コロナ下の一時的な例外はあるが、オーストラリアの生産性の行き詰まりは全く異なる二つの経済環境を通じて継続している」とし、「政策立案者は(生産性低迷の)構造的な問題に注意を向ける必要がある」と指摘した。 同氏はまた、非市場部門で特に生産性の低下が顕著だと警告した。同部門には政府の支援プログラムが多く含まれており、介護・支援サービスは強い需要に応えるため人員が増強されていた。 同期の労働生産性は、前年同期比では0.4%上昇した。市場部門は1%上昇、非市場部門は0.7%低下となった。