あなたにとってのシティボーイとは?Vol.1
ミュージシャン、ceroボーカル 髙城晶平にとってのシティボーイ
小学3年生の頃、上海からバカンスとして日本にやってきた王舟。現在も東京に“滞在中”なわけだが、今度はイタリアにツアーに行くらしい。「海外旅行なんて日本以来だわ」と話す王舟に思わず「お前まだ日本旅行してんのかよ」とツッコミを入れたくなる。とうに中国語もあやふやな根無し草。ホーボー。だけどそういうヤツこそどこの街でもすぐに溶け込んでしまうのだろう。都市の成り立ちが人の集まる場所を起源としているならば、いつの時代でもそういう場所には王舟みたいなヤツがいたにちがいない。
フードエッセイスト 平野紗季子にとってのシティボーイ
シティボーイは言わずもがな街が好きだ。では同じようにシティを愛する年上の先輩、つまり港区を中心に生息する東京大好きおじさん(高層マンションから日々夜景を眺め、予約の取れないレストランの座席をいくつも持ち、高知への移住など決して考えていない)は、シティボーイのロールモデルたり得るのか? というとそれは不思議とちょっと疑問。彼らの生態はやや不可解で、今日最先端のアーバンライフを満喫していたかと思えば次の日には竹富島のプライベートビーチでノーwifi最高! とか言ってオリオンビールを飲んでいる。東京23区がアーバンレベル5だとすると、大自然の孤島は1であり、つまり彼らは5と1ばかりを極端に愛で、2とか3、例えば柏みたいな街には見向きもしない。何もないと思っている。そういうところがいけ好かない! 本当はそんなことないのに。すべての街は面白いのに!っていうのは私の散歩の方針&今日ここで言いたかったことなんだけど、まさに『孤独のグルメ』主人公の井之頭五郎さんは、2や3に属するような冴えない街であってもニヤニヤしぶとく歩き続ける(師匠ォー!)。街の葉脈に入り込み路地裏をすり抜け、たまに大変な失敗をしながらもうまそうな物語の漂う小さな店を追い求める、その背中は永遠の少年だ。街に貴賎などない。真のシティボーイは、すべての街を愛している。そういう人なのだと思う。