「10人に1人は永久歯が生えない」残った乳歯も抜けたら…困惑する親に医師が勧める驚きの治療法「小学生でも?」
── 矯正治療は自費というイメージがありますが…? 菊入先生:先天性欠如の場合、親知らずを除いて6本以上の永久歯が欠如している場合は、保険適用になります。ですから、まず「欠如が何本か」を確認する必要があります。 ── 5本以下だと、自費での矯正治療になってしまうんですね。 菊入先生:はい。自費というと損するように感じる方もいるようですが、5本以下の欠如は遺伝的な可能性が低いから保険適用外なんです。つまり、お子さんが成長して赤ちゃんができたときに、その子に欠如が遺伝する可能性は低いといえます。ですから、欠如が5本以下なら保険は適用されませんが、将来的な遺伝の心配は考えにくいので、ある意味よいことではないかと思います。
■治療は「ほかの歯とあごの発育状況」を見て ── なるほど。では、矯正治療の内容について教えてください。 菊入先生:先天性欠如で乳歯が抜けた場合は、そのすき間をどうするか考えなければいけません。どの治療法を選ぶかは、お子さんの年齢によって変わります。具体的には「あごの骨の発達が完了しているか」と「ほかの歯の永久歯への生え変わりが終わっているか」を見ます。この2つが終わっていれば、インプラントやブリッジ治療の選択が考えられます。
── その子の骨の成長と、歯の状況次第ということですね。インプラントやブリッジをする目安は何歳くらいですか? 菊入先生:個人差はありますが、だいたい高校生から20歳以上がいいと思います。永久歯への生え変わりが終わるのは13~14歳ぐらいですが、骨の成長がゆっくりめのお子さんだと15歳くらいまでかかるので、中学校卒業まではやらなくてよいのではないでしょうか。 ── では、乳歯が残っている子どもの場合は、大人になるまでは暫定的な対応になるんですね。
菊入先生:はい。ほかの治療法としては、入れ歯になります。
■子どもなのに「入れ歯」…でもメリットは大きい ── そうなんですね。小学生で、1本だけ歯がない場合でも入れ歯を? 菊入先生:はい、部分入れ歯を装着します。入れ歯のいちばんのメリットは「周囲の歯を削らない」ことです。 ブリッジ治療は抜けた歯の両隣の歯を削って人工歯の土台にしますが、小児歯科医師としては、健康な歯を削るのは歯の寿命を縮めることになるので、お子さんには特に勧めたくないです。それに、ブリッジやインプラントは一生使えるものではありません。長く持っても20年くらいで交換することになるでしょうし、ブリッジの交換時にはまた歯を削ります。