迷子のイヌはなぜ遠く離れた家に帰れるのか、4500km戻った例も、専門家に聞いてみた
家こそがイヌのいる場所
しかし、全体的に見ると、「ほとんどのイヌには、遠くて馴染みのない場所から家に帰る学習や経験、練習をする機会はありません」と、ブルダ氏は言う。 なぜなら、現代の犬種は飼い主の近くにいるように飼育されているためだ。このような旅は少なくなりつつある。 「人間と一緒に育ったイヌは、子どもと親の愛着に似た絆を人間とつくれます。このような絆の重要な特徴の一つとして、離ればなれになった時に再会を求める強い欲求が見られます」と、米オレゴン州立大学のヒューマン・アニマル・インタラクション研究所のモニーク・ユーデル所長は言う。 「迷子になることは、イヌにとって非常に恐ろしい体験です」とトッド氏は補足する。だからこそ、そもそも子イヌが迷子にならないようにすることが重要なのだ。 飼い主がイヌにマイクロチップや電話番号入りの首輪などの身元確認手段を用意していれば、イヌを家族と再会させるのが簡単になるだろう。 「これは、イヌが自力で帰る必要をなくすために、私たちができる最も有益なことです」
文=Rebecca Owen/訳=杉元拓斗