金融資産「億超え」なのに…64歳女性がパート継続する本当の理由「自営業・夫の不安点」
多額の金融資産を保有しているにもかかわらず、老後を心配されている人はたくさんいます。筆者のところにも過度な心配をされている人の相談が相応にあります。今回は家計のお金周り全般を自分自身でしっかり把握していないがために、老後を心配されている牧野さん(仮)のケースをご紹介しましょう。なお、牧野さんのご相談はメール等のやりとりで行ったことを最初に記しておきます。 FP深野康彦さんへの「お金のお悩み相談」募集中です! *ご相談が必ず回答されるとは限りません。編集部と深野さんが実際に回答する答えを選びます。
収入のブレがある自営業の夫。妻がパートでサポート
牧野さん、自身はパートで働いていますがご主人は自営業です。夫婦ともに64歳、2人の子どもはすでに社会人となっていますが、下の子どもは牧野さんと同居しています。同居の子どもは月に3万円入れてくれていますが、家計収支には組み入れていません。夫が自営業であることから毎月の収入は39万円から59万円とかなり幅があることから、中央値の49万円、年間588万円としました。 一方、毎月の支出は月36万円、年間では432万円です。ただ、月36万円の支出以外に国民健康保険料、医療費、雑費が合計すると月7万円5000円、年間90万円あるとのことでした。このため毎月の支出は432万円に90万円を加えて522万円になります。年間588万円の収入に対して522万円の支出ですから、家計収支は66万円の黒字になるのですが、相談時には家計をやりくりして毎月7万円、年間84万円を小規模企業共済に貯金ができているということなので、貯金の数字は牧野さんの数字を使い今後の家計収支の試算を行うことにしました。
一方で貯金は8000万円。金融資産の総額は1億円超え
家計収支は記載の一方、貯金は4500万円、株式や投資信託のほか、米ドル建て保険が3500万円の合計8000万円あると牧野さんは述べていました。しかし、いただいた家計資産などの資料を子細に確認すると、夫には10年確定の個人年金保険600万円(10年合計)、牧野さんには死亡時1000万円の払い済み保険が、さらに小規模企業共済が70歳で夫が廃業する時点で1500万円あります。払い済み保険の解約返戻金を牧野さんは相談時に把握されていなかったので生命保険は資産から外すことにしましたが、個人年金保険と小規模企業共済を加えるだけで牧野さんの金融資産額は1億100万円になりました。 牧野さん、65歳から受給できる公的年金額は少ないため70歳まで繰り下げて、夫は月8万5000円、牧野さん12万円の合計20万5000円になるとのことでした。公的年金を繰り下げることからご夫婦共に70歳まで働く予定です。以上が牧野さんの相談時の状況ですが、老後資金はこのままで足りるのか、不足するならその対策はどうすればよいのか?どんな方法があるのか知りたいというのが要望でした。