「日本のマンガが人気」というイメージに反して、じつは「フランス人の大人」はあまりコミックを読まないという現実
「フランスでは日本のマンガが人気だ」という話はよく聞くが、フランス人は年齢によってフランスやベルギーのコミック(バンドデシネ)をとくに読むのか、日本マンガを読むのか、グラフィックノベル(文芸性の高いコミック)を読むのかが実は違う。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動して発した一言 フランスの全国出版協会(SNDICAT NATIONAL DE L'EDITION.SNE)のバンド・デシネグループが発表した調査「8歳から25歳まで、マンガで何を読む?そしてどのように?(De 8 a 25 ans, que lit-on en bande dessinee et comment ?)」から見てみよう。 前編記事『「フランスでは日本のマンガが人気」というが、じつは意外と知られていない「その実態」』より続く
8~10歳はヨーロッパのコミックを読み、親は「スクリーンタイムより良い」と推奨する
フランスではコミックとの出会いは主に家庭内で、とくに7歳前後に始まるという。 8~10歳の読者はフランスとベルギーのコミック、すなわちバンドデシネ(BD)が中心的なジャンルとなっている。読者は色彩や読みやすさ、ユーモアを重視する。新しい作品の発見は兄弟姉妹や学校(教師の推薦)を通じて行われることが多く、映画やアニメの影響も強い。この年齢では、同年代からの影響はまだそれほどでもない。 むしろ意外にも(?)父親の存在が大きいという。保護者が特定のタイトルをおすすめしたり、テレビやタブレットなどのスクリーンタイムをコントロールするからだ。子どもがコミックが好きな場合、親は書店や図書館、インターネットなどで積極的に情報を得るし、逆に子どもの読書量が少ない場合も読書を奨励する手段としてコミックを活用しているという。 ただし親が自発的に買うのはベストセラーや伝統的なコミックのような保守的なものだ。子ども自身も、メディアテーク(フランスの現代的な公共図書館。本に限らず視聴覚資料やデジタルメディアを提供する複合文化施設)に行くと既に知っているものを借りる傾向が強く、新しい作品の発見はあまり行われない。 コミックは読書に親しんでいくためのエデュテインメントツールとして保護者から受け入れられている。とくに母親たちは、動画を見るよりもコミックを読む方が集中力が向上し、静かな時間が確保でき、想像力の育成に役立つと考えている。 フランスの保護者は子どもに「スクリーンタイムを減らそう」と指導していることが多く、子どもたちは制限時間の中でゲームやYouTube、ソーシャルメディア利用を優先していて、デジタルコミックはあまり読んでいない。