【光る君へ】ぞろぞろ登場する道長の子女たちは 露骨なほど明確に序列化されていた
2人の妻が産んだ6男6女
藤原道長(柄本佑)には往時の権力者の例に漏れず、数多くの息子と娘がいた。NHK大河ドラマ「光る君へ」の第41回「揺らぎ」には、そのうちの何人もが登場し、だれがだれだかわからず混乱した視聴者も多かったのではないだろうか。そこで、正室の源倫子(黒木華、2男4女を出産)と、2番目の妻である源明子(瀧内公美、4男2女を出産)が産んだ子供たちを、一人ずつ整理してみたい。 【画像】“大河”劇中とはイメージが変わる? 「彰子」を演じた見上愛
まず、第41回にはだれが登場したか。一条天皇(塩野瑛久)に入内し、いまは一条が崩御して喪に服している中宮彰子(見上愛)は、倫子が産んだ長女。三条天皇(木村達成)に入内した妍子(倉沢杏菜)は、倫子の2番目の娘(道長の次女)である。 三条天皇の側近に取り立てられ、「帝の御側近くに上がる者が、なぜ兄上ではなく、私なのでございましょう?」と、父の道長に尋ねたのは、倫子が産んだ2番目の息子(道長の五男)である教通(姫子松柾)だ。道長は「名誉なことではないか。ありがたく務めよ」と答えた。 一方、弟が取り立てられた辞令に不満を覚え、父に「なぜ教通で、私ではないのでございましょう?」と尋ねたのは、倫子が産んだ長男の頼通(渡邊圭祐)。道長は「帝に取り込まれなかったことを、むしろよろこべ。お前が先頭に立つのは、東宮様が帝になられるときだ」と返答した。これは史実に即して「翻訳」すれば、頼通は東宮の敦成親王が即位した後、摂政になる存在なのだから、短命な三条天皇に取り込まれなかったのはむしろ幸運だ、という意味になる。
明子所生の息子たちの不満
道長が明子のもとにいる場面では、明子が産んだ2人の息子が登場した。1番目の息子(道長の次男)の頼宗(上村海成)が「父上、ご機嫌うるわしゅう」とあいさつしたのに続き、次弟(道長の三男)の顕信(百瀬朔)は、「父上、われわれが公卿になる日は、いつなのでございましょうか。兄上とも私とも歳の違わない土御門殿の頼通様は、すでに正二位の権中納言。納得がいきませぬ」と、半分詰問調で尋ねた。 後述するように、道長は倫子所生の子たちと明子所生の子のあいだで露骨に差をつけた。顕信はそれへの不満を申し述べているのである。道長は「そういうことは帝の御心ひとつだ」と答えるが、顕信は「いつまで待てばよろしいのですか?」と食い下がった。 その後、これら4人が、姉である彰子のもとを訪ねる場面が描かれた。「この先も父上の意のままになりとうはない」と話す中宮彰子に、女房のまひろ(吉高由里子、紫式部のこと)は、「ならば仲間をお持ちになったらいかがでございましょう?」と提案した。「仲間」の意味は、まひろの次のセリフで明らかになった。「中宮様には弟君が大勢おられましょう。みなで手を結べばできないこともできます」と提案したのだ。 そこで、彰子は兄弟を集めることにし、「父上のより良き政のためにも、われらが手を携えていくことが大切だ」と説いたのである。