一箱5000円のジャガイモも買ってしのいだ日々 餓死寸前の高齢者も…コロナ禍・ロックダウンされた上海で、日本人主婦が見たものとは
上海市ロックダウンの通知は、ロックダウンの2日前に来た
--2022年の3月末からは、上海全体でロックダウンが始まりました。 黒崎 ロックダウンの通知はいきなり来ました。3~4日上海市をロックダウンするから食料を備蓄しておきなさいと中国政府から、ロックダウン予定日の2日くらい前にね。すでに世界はデルタ株からオミクロン株に移行しており、withコロナとかいって、コロナとの共存の方向性が志向されている状況でした。上海市内でも新規感染者が急増したわけでもないのに、なぜ今ごろになってロックダウンするのか理解できませんでした。 政府は「3~4日ロックダウン」といっていましたが、私は「実際は1週間くらいかかるだろう」と予測して、さらに念を入れて10日分ほどの食糧を備蓄しておこうと思いました。蓋を開けてみたら10日どころか2カ月以上もロックダウンされたわけですけれど。 中国政府からの通知を聞いて私はすぐにスーパーマーケットに食料品の買いだめに走りました。市内は、パニックというほどではありませんでしたが、みな山のように食糧を買いまくっていて、棚からは商品はほとんど消えていました。私が買えたのは卵が数十個と米、いくばくかの野菜、小麦粉くらいのもので、保存の効く缶詰やレトルト食品などはほとんど手に入りませんでした。それでも私は自宅に備蓄してあるものも含めて、家族の10日分くらいの食料は確保できましたけれど、中には政府のいうことを鵜呑みにして3~4日しか蓄えなかった・蓄えられなかった人もいたでしょう。 食料が足りなくなったら? 買物なんか行けるわけがありません。店も開いてないし、そもそも市民は自宅にほぼ軟禁されている状態なんですから。「ロックダウン」とはそういうことです。 上海の住宅は、基本的に団地なんです。日本でいえば千里ニュータウンとか高島平団地とか、そんな感じの団地群が各所にある。この団地は必ず、3メートルくらいの高さの塀で囲われています。で、囲いの東西南北とか、最低でも2ヶ所にはゲートがあるので、そこを閉めてしまえば人の出入りはできなくなる。中世の城塞都市みたいな感じですね。塀を乗り越えて外にでることは不可能ではありませんが、そんな真似をしたら大変なことになるとは上海市民もちゃんとわかってました。おそらくは高度な顔認証システムと連動しているであろう監視カメラも設置されていますからね。