プリキュアの“恋愛描写”は20年間でどう変わった? 「彼氏」すら表現できなかったプリキュアがわんぷりで「カップル誕生」を描けるまでに至った理由
プロポーズされ結婚に至ったプリキュアも
さらに2023年に放送された、「Yes!プリキュア5」のスピンオフの続編「キボウボチカラ~オトナプリキュア’23~」の最終回では、パルミエ王国の王子ココが、ついに夢原のぞみにプロポーズ、結婚に至りました。 スピンオフ作品とはいえ、ついにプリキュアが結婚したのです。 (ちなみに、恋愛的なターニングポイントとなっている「ハピネスチャージプリキュア!」「キボウボチカラ~オトナプリキュア’23~」「わんだふるぷりきゅあ!」は成田さんがシリーズ構成を務めています)。
時代の変化に合わせて
2人の女の子が「手をつないで」変身することから始まったプリキュアシリーズ。 20年の歳月を経て、男女が恋愛的な意味で「手をつなぐ」にまでに至りました。 プリキュアにおいて「手をつなぐ」という行為には重要な意味がこめられ、「友情、信頼、あきらめない心」などの象徴として描かれ続けてきましたが、そこに「恋愛的な愛情」も加わったのです。 現実世界に目を向けても、かつてはアイドルや俳優さんに彼氏彼女がいるなんて言語道断の空気感だった時代もありましたが、2020年代では俳優さんやタレントさんが、恋人がいることを公言していたり、結婚してもアイドルを続けていくのも普通のことになってきました。 プリキュアでも、かつては「コクる」「彼氏」という言葉1つだけでも保護者から大ブーイングだった時代がありました。 しかし、時代の変化や保護者の価値観の変化に合わせて「告白」「デート」「結婚」といったことが描かれ、「彼氏がいるプリキュア」そして「結婚したプリキュア」も表現できる時代になりました。表現の幅が大きく広がってきています。 梅澤 実は大ブーイングでした。「コクる」「彼氏」というセリフも評判が悪かったです。中学生だから、必然性があるから、大丈夫というわけじゃない。両親が観せたくない作品になっては『プリキュア』じゃない、と痛感しました。 ぴあ『プリキュアぴあ』(P87)