本当の保守とは“緩慢な革新” 民主主義がアメリカ国益主義になってはいないか【報道1930】
そして冷戦終結後も日本の政治が親米を続けたことについて、保阪氏は歴史は状況が変わったからと言って簡単に変わらないという。 昭和史研究家 保阪正康氏 「50年60年続いた親米…。国家と国家の利害関係が結びついている。これを解きほぐすのは1年や2年では進まない…。残念なのはこれを解きほぐして(自立する方向へ)向かってないって言っていいんじゃないかということ」 一方、前田氏は歴史だけでなく、今まさに進行している日本周辺の動きも重要な要素だという。 毎日新聞社主筆 前田浩智氏 「(―――冷戦が終わっても続いた…)2000年以降何が起きたか…、中国の発展と軍拡なんです。北朝鮮がどんどん核に向けて走る、ロシアではプーチンが復帰して…。権威主義国家が3つ出てきて、ここと日本はどうしていくか…。冷戦時アメリカに頼ることで紛争に直面することなくうまくやった。この成功体験から抜けられないままでいる」 ■「(保守とは)目の前にある選択肢を改革という名で選択して行く…“緩慢な革新”」 保阪氏は“保守”というものに興味を持って沢山の政治家の本を読んだ。その中で前尾繁三郎の『政(まつり)の心』という本に惹かれた。因みに衆議院議長だった前尾氏は蔵書3万冊と言われる超読書家でもあった。 昭和史研究家 保阪正康氏 「『政の心』の中で、保守とは何かって…、字の解説から歴史解説までしていて…、なるほどなと思ったのは、保守というのは私たちの国の伝統とかものの考え方とかを踏まえながら日常の中で少しずつ改革をして行く…。目の前にある選択肢を改革という名で選択して行く…“緩慢な革新”だ。 保守とは何か立ち止まって古臭い考え方に過去を思い出して、すがっているんじゃないかって…。そうではなくて改革する、それもゆっくり改革していく。ひと世代でできなければ2世代で改革していく。それが“真正保守”。いま日本の政治でこの真正保守という、まっとうな保守を代弁してくれる政党・政治家っていうのがいるんだろうか…」