「首つりのあった部屋」に住む男性、謎の音はするけど「気にしない」 “事故物件”はアリかナシか
ガイドラインによって、賃貸の場合は「3年経ったら告知不要。聞かれたら答える」となった。 「借りる側が『気になったら聞いてください』ということです」(同) つまり、賃貸を契約する側が自分から聞かないと、知らないうちに事故物件に入居する可能性もあるということだ。 ■ 床下から遺体が出てきた家でも 物価高騰、住宅高騰が続くなか、民間の賃貸住宅への需要は高まるばかりだ。年金暮らしの高齢者や収入の高くない人々にとっては、相場より安く借りられる事故物件は選択肢になりうる。 投資家にとっても、事故物件は魅力的だ。リノベーションして再生し、たとえば生活保護受給者向けに貸し出せば、国や自治体が家賃の支払いを支える仕組みがあるため、長期にわたって安定した収入源となる可能性も高い。 ある家族で起きた凄惨な殺人事件の現場となった一軒家が、埼玉県にある。 床下からは1人の遺体が発見され、殺害した1人は刑務所へ。唯一残された1人は遠方に引っ越して、家だけが残った。 近隣住民の誰もが知る事件で、家の買い手は見つかりそうになかったが、家族から成仏不動産に売却相談が入った。「依頼は原則断らない」がモットーのため、その家を買い取った。 ハウスクリーニングをかけて売り出したところ、すぐに購入者が決まった。20代のサラリーマン投資家で売買価格は100万円ほどだったという 「今は生活保護の方に賃貸で出されていると聞いています」(同) 事故物件を再生することは社会貢献でもある。空き家対策にもなる。 人間はいつか死ぬ。昨年だけでも国内で150万人以上が亡くなっている。人生を終える場所が住まいであることは、珍しい話ではないだろう。「事故物件」の忌避感情の正体を、いま一度見つめ直してみるのもいいかもしれない。 (AERA dot.編集部・大崎百紀)
大崎百紀