東海大会初優勝の美濃加茂…3年生を中心に機動力と総合力で夏の全国に挑む
6月29、30日の期間、岐阜メモリアルスポーツセンターにて「第71回東海高等学校総合体育大会バスケットボール競技」が開催された。 優勝候補の一角であった地元・岐阜県代表の美濃加茂高校は、初戦となる2回戦から登場。2回戦の沼津中央高校(静岡)、準決勝の高山西高校(岐阜県)︎と前半から大きくリードすると、危なげない戦いで決勝まで勝ち上がった。そして、決勝では前年と同じく藤枝明誠高校(静岡県)と対戦した。 迎えた決勝戦、美濃加茂はエブナ フェイバー(3年)のシュートで幸先よく先制点を奪うと、速い攻めから後藤宙(3年)の3ポイントシュート︎や関健朗(3年)のドライブからのバスケットカウントなどでスタートダッシュに成功する。激しいディフェンスでも圧倒し、第1クォーターを36ー10︎とした。これで主導権を握った美濃加茂は第2クォーターでさらに点差を広げて前半を69ー22と大差を付ける。後半は、藤枝明誠に追い上げられたものの、前半のリードを維持し、最後は111-73で快勝した。 この結果により東海大会初優勝となった美濃加茂。3試合すべてで点差の離れた試合となったが、「合格点を出せるのは(準決勝の)高山西の2クォーターと決勝の1クォーターだけ」と、指揮を執る林龍幸コーチは冷静に語る。ただ、合格点の理由として「ボールが止まることなく連動して、動いてバスケットができる」ことを挙げ、「決勝の出だしはすごく良かったと思います」とも振り返った。 3年生を主体に「自主的に取り組んでいる」という今年のチームは機動力が特長。決勝では18得点を挙げた藤田大輝(3年)も「ディフェンスからのブレイクが一番強いと思います」と言い、前から当たるハードなディフェンスで相手のミスを誘い出し、そこで奪ったボールを速い攻めから得点につなげていくスタイルを東海大会でもいかんなく披露していた。 「相手のやりたいことを消しながらやるというのが大事だと思っています。そこにはタフな気持ちがないといけないと思うので、(インターハイ予選を兼ねた)県大会が終わった後も自分たちはチャレンジャーだという話は選手たちにしていました」と、林コーチ。インターハイに向けては、「リバウンドが一番大きくなってくると思います。今日(決勝)も何回か取られたところがあったので、そういったところですね」と、リバウンドをポイントに挙げていた。 昨年は前評判も高い中でインターハイでは1回戦敗退という憂き目に遭った美濃加茂。それだけに「自分たちの武器のディフェンスが全国でどれだけ通用するのかが大事で、そこを出していけるように。昨年は1回戦負けだったので、今年(のインターハイ)は全部勝って、優勝します!」(藤田)と、美濃加茂の選手たちは今夏の全国大会には並々ならぬ思いを抱いている。 一方、決勝で敗れた藤枝明誠は、初戦となる2回戦の第1クォーターでボヌ ロードプリンス チノンソ(3年)が負傷退場。その後はエースを欠いての戦いとなった。その中で中部大学第一高校(愛知県)との準決勝を競り勝つなどチームでつかんだ準優勝。「プリンスのイレギュラーなケガがあった中、残ったメンバーがよく戦ってくれたと思います」と、金本鷹コーチは選手たちの労を称えた。また、「美濃加茂戦ではやはりうちの経験が。野田凌吾(3年)以外は下級生になるので、そういった意味でもいろいろと準備不足だったかなと思います」と、ロードプリンス不在の試合を振り返った。 さらに、準決勝で藤枝明誠に54ー63で競り負けた中部大学第一高校(3年)は、大会前から主力のケガも影響して3位で終了。「オフェンスの綻びが問題として出てきた」と、常田健コーチは大会を総括した。 インターハイを約1カ月後に控えた時期に行われた東海大会。それぞれにこの2日間でで得たものは大きく、それを夏の全国へとつなげていく。 文=田島早苗
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