北朝鮮で手作りの小さな仏像を購入する住民が増加、生活の不満や不安を祈りで和らげる目的 当局は薄々気付くも黙認か
北朝鮮では、宗教的な活動は実質的に禁止されているが、住民の間では最近、手のひらより少し大きめの仏像を購入して、朝晩、仏像に「家族や自分が幸運になるように」と祈っている人が増えているという。北朝鮮当局が食糧の配給をろくにせず、労働を強要され、毎日の食事にもこと欠くような窮乏生活の中、住民たちは現世では幸福を得ることができない不満や不安を祈ることで和らげているのだという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
この仏像は陶磁器工場に長く勤めていた職人が自宅で作っているという。事情を知る住民は取材に「赤い粘土を掘り起こし、手作業で仏像に整形した後、自宅に設置された小さな窯で焼き、黄色や金色に塗った後、訪問販売員に卸されるようです」と語っている。 販売員は当局の目をかいくぐって、住民のアパートなどを回って、仏像を運んできており、仏像の価格は約2万北朝鮮ウォン(約340円)ほどだが、地元住民からすれば、結構高い金額だという。住民らは、家に仏像を置くことで不安や不運をなくすことができると信じているという。 当局も、仏像に祈っていることを薄々分かっていながら、見逃していることもあるようだ。北朝鮮では、憲法上、信教の自由はあり、仏教には寛容な面もあるからだ。 ただし、キリスト教となると、対応も厳しくなり、米国政府傘下の独立組織である「国際宗教の自由に関する米国委員会」が、2024年5月に発表した年次報告書では、北朝鮮を「特に懸念される国」に指定し続けるよう国務省に勧告している。