暗号資産の利益で低所得者層が住宅購入──しかしリスクの可能性も
米財務省金融調査局(Office of Financial Research)が26日に発表した論文によると、暗号資産(仮想通貨)への投資により、低所得のアメリカ国民が他の人口層よりも高い割合で自宅を購入できるようになった可能性がある。 金融調査局は、アメリカの経済的危険を探り出す役割を担う財務省の独立機関。同局が実施した研究によると、近年の暗号資産投資の増加に伴い、デジタル資産の活動が最も活発な地域で債務、特に住宅ローンの顕著な増加が見られた。この研究は、そのような金融的負担の拡大がアメリカの安定性に危険をもたらす可能性があるという証拠を探していたが、研究者らがこれまで発見したのは、これらの地域での延滞率が低いままであるということだ。 論文は、「暗号資産へのエクスポージャーが高い地域の低所得消費者は、住宅ローンを組む可能性が不釣り合いに高く、平均的な住宅ローンの規模は2020年以前の平均所得と比較して大きい」と結論付けている。 レポートは、「暗号資産へのエクスポージャーが高い地域の消費者の住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード債務において、高いレベルの困窮の証拠はほとんど、または全くない」とし、「むしろ、延滞率は比較的低いままだ」と指摘した。 この潜在的に明るい連邦政府の研究結果は、アメリカでの暗号資産普及拡大への道を開こうとする次期政権の官僚らの主張をさらに後押しする可能性がある。ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領は、デジタル資産セクターに友好的な規制と緩和された執行を支持する金融規制当局者を任命すると予想されている。 金融調査局の論文は、こうした暗号資産世帯が金融的下降局面で注意深く観察される必要があると警告している。そうしたストレスによってこうした世帯がアメリカの住宅ローン市場にとってのリスクとして露呈するかどうかを見極めるためだ。暗号資産は依然として、他のほとんどの資産クラスよりもはるかにボラティリティの大きい投資だ。 レポートは、「将来のモニタリングにとって重要な点は、暗号資産へのエクスポージャーを持つ低所得世帯の債務残高とレバレッジの増加だ」と指摘。「このグループでの困窮の増加は、特に高レバレッジ、高リスクの消費者が持つこうした種類のエクスポージャーがシステム上重要な機関に集中している場合、将来の金融ストレスを引き起こす可能性がある」と説明した。 金融調査局の数字によると、2020年から2024年の間に暗号資産への関心が高く低所得の地域で住宅ローンが274%増加し、平均的な住宅ローン残高はデジタル資産活動がより少ない低所得地域よりもはるかに高かった。中所得地域と比べても大幅に高かった。 調査結果では「暗号資産の売却により、頭金が大きくなり、より大きな住宅ローンへのアクセスを支えた可能性がある」とされている。 この研究は暗号資産の集中を見出すのにアメリカの税務データを使用したが、利用できる最新データが2021年のものであったため、暗号資産の売却は業界が2022年に崩壊する前の市場ピーク時であった可能性が高く、売却が大きな利益をもたらした可能性がより高くなっている。投資家はこれらの利益を他の金融行動の裏付けとして使用したようだ。これには、住宅や自動車の大幅な購入増加が含まれる。一方、金融調査局の信用データは今年のものだ。 |翻訳・編集:林理南|画像:Blake Wheeler/Unsplash|原文:Crypto Gains Let Poor People Buy Houses, U.S. Research Finds, But Risks May Lurk
CoinDesk Japan 編集部