男性上司からパンケーキの写真が…「男らしさ」の陰で負った傷の癒やし求める男性 セクハラも?
日本ペンクラブが「男らしさの彼岸」というシンポジウムを2月25日に行いました。上司のセクハラや「男らしさ」と今どきの価値観の狭間の悩みなどが語られ、競争社会で傷ついた男性が女性によるケアを願い、それが場合によってはハラスメントにもつながるといった議論になりました。
■男性上司からのLINE急にパンケーキの写真が…
このイベントは日本のハラスメントを考えるシリーズの第5回。まず文筆家の清田隆之氏が聞き取った今どきの男女の悩みが報告されました。 ある女性の例では、男性上司から業務連絡のLINEで、急にパンケーキの写真が送られて来た。女性が気を遣って「パンケーキどこのですか」と返信すると、上司から店名が返ってきた。その後も連日、動物の写真や「あたまなでさせろー」といったLINEが。相手が上司だけに、女性は「気持ち悪いんだよ」とも言えず、非常に悩んだが、周りに相談しても、仲良いやりとりと誤解され、セクハラ、パワハラとは受けとってもらえない。
■男性の悩み…出世した妻にモヤモヤ
清田氏は「男らしさ」と最近の価値観の狭間で悩む男性からの相談も紹介。「自宅で家事をしても、妻からダメ出しされ苦しい」「会社の後輩である妻が出世して忙しくなり、僕が作った夕食を食べない日があったり、周りからも冷やかされたりして嫉妬から妻に八つ当たりする自分がいやだ」「仕事のストレスで飲酒や風俗にはまる」など。
■男同士のじゃれ合い、実はいやだった
当たり前とされてきた「男同士のじゃれ合い」についても、男性が実はいやだった、傷ついていたと語るようになってきたということです。 *部活でミスし先輩に殴られた *上司に風俗店に連れて行かれた *一発芸の強制 *体育館のマットでぐるぐる巻き 「いやだったけど、後にはそれをやる側になった」という人も。 事例報告の後、清田氏は「男性たちは新しい価値観がいいんだろうなとは思いつつ、古い価値観の中で生きてきた自分を思うと複雑な気持ちだ、板挟みになっているとよく聞く」と語りました。
作家の島田雅彦氏は「学校で、まず同性でつるむ中で形成される人間関係が大学生になっても、職場でも継続してしまう部分はあるかも。体育会系や軍隊経験があるとなおさらだと思う。そういう世界で苦慮するというのは典型的な(男性の)苦しみとしてあるかと思う」と解説しました。 また男女関係について「江戸時代の好色一代男などを読むと、相手の趣味に合わせるなど、お互いにすりあわせをしていく付き合い方があって、そこを無視した人たちは野暮だと、ものすごくばかにされたこともある。時代によって付き合い方の機微があるが、男女が協力、教育しあうしかないのかなと思う」などと述べました。