子どもの「死亡事故の恐怖」リアルに描いた漫画にゾゾッ…“生き延びる方法”まで描ききった作者の意図は<漫画>
「地球滅亡」に備える前に、まずは身近な事故への対策を
――漫画のためではなく、以前から情報を集めていたんですね。 大塚「ノストラダムスの予言で、1999年に地球が滅亡するという話がありましたよね。このテーマに関連して、地球が滅亡した後にどう自力で生き延びるかを考える番組も観ていました。けれど、ノストラダムスや世界滅亡の予言よりも、身近な危険の方が怖いと思ったんです。災害や交通事故の方が、巻き込まれる可能性が高いですよね。 だから地球規模ではなくて、もっと身近に起き得るシチュエーションを漫画にしたいと考えていました。僕は現在40代なのですが、20代後半くらいから約10年間、なんとなくこのテーマを描きたい気持ちがあったように思います」 ――もともと、子ども向けの漫画を描かれていたんですか? 大塚「もともとは少年漫画で連載デビューしましたが、その後、青年漫画に移行して活動を続けました。青年漫画を描いている中でも、いつか子どもに向けて何か描きたいという気持ちはずっとありました。そんな気持ちでいる中で、先ほどお伝えしたような子どもが巻き込まれる痛ましい事故や事件を目にする機会が増えて、描こうという思いが強くなりました。子ども向けの作品を描きたいという気持ちと、子どもに伝えたいテーマが合致したタイミングでできた作品です」
漫画で「危険を疑似体験してもらう感覚」が大事
――『マンガでわかる! 死亡ピンチからの生還図鑑』は、自分がその事故に巻き込まれているかのような臨場感がありました。 大塚「漫画を読んで疑似体験してもらう感覚は、とても大事にしました。実際、危機に遭遇したときに一番危ないのは、想定外のことが起きてパニックになることなんです。だから、漫画の中で一度疑似体験をしてもらい、いざ危機に陥ったときに『漫画で見たやつだ』と思い出して回避策をイメージしてもらえればと思っています。 また、漫画で危険なシチュエーションを知ることで、『このエリアは危険だ』とか『この空間は危なそう』というのを、想像できるようになってほしいという思いがあります。 例えば、増水した川がそうです。増水した川が危険と言われても、どう危険なのかは子どもには伝わりにくいですよね。一生懸命大人が危険性を説明しても、子どもは多分10秒後には別のことを考えていると思います。要するに、飽きちゃうんです。 だからこそ、漫画という形で能動的に読んで、自分ごとに置き換えてほしいんです。『なるほど』と思いながら進めれば、具体的にイメージもしやすいですよね」