ヘルスケアと金融分野でGPT-4超え、Writerの専門モデルが示すポストGPT-4の世界
医療分野でGPT-4を超えるモデルが登場
GPT-4、Claude 3.5、Gemini 1.5などは「汎用モデル」と呼ばれる大規模言語モデル(LLM)だが、特定領域に特化した専門モデルの開発も活発化しており、専門知識でGPT-4を超えるモデルも増えつつある。サンフランシスコを拠点とするAI企業Writerが2024年7月31日にリリースした「Palmyra-Med-70b」は、その代表例といえるだろう。 Palmyra-Med-70bは、ヘルスケア業界に特化した専門モデル。Writerによると、このモデルは医療ベンチマークで85.9%に達し、GPT-4の82.8%、グーグルMed-PaLM-2の84%を上回った。特筆すべきは、Med-PaLM-2が5回の試行後にようやく82.8%に到達したのに対し、Palmyra-Med-70bがゼロショット(事前の例示なし)でそれを超える85.9%を記録した点だろう。 Writerによると、Palmyra-Med-70bは臨床知識と解剖学でそれぞれ90.9%と83.7%のスコアを達成、診断や治療計画の支援に有用であることが示唆された。また、医療遺伝学で94.0%、大学医学で84.4%のスコアを記録し、遺伝カウンセリングや医学教育への応用可能性も高いことが示された。さらに、PubMedQAで80%を獲得、生物医学文献からの情報抽出/分析能力が高いことも示した格好となる。 Palmyra-Med-70bの登場は、ヘルスケア産業におけるAI活用の流れを大きく変える可能性がある。同モデルがオープンソースモデルとして公開されているためだ。ヘルスケア分野で高い精度を誇ってきた従来のモデルはクローズドソースであり、重要な部分がブラックボックスとなっていた。Palmyra-Med-70bは、透明性が重要視される医療関連組織において魅力的な選択肢になることが想定される。Palmyra-Med-70bは、NvidiaやBaseten、Hugging Faceなどの主要AIプラットフォームで利用可能となっている。