嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ 〝特大シーサー〟の美しさに衝撃 「性質」知ると信じられない……
「嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ」。そんな文言とともに、迫力のある大きな「シーサー」の画像がXに投稿され、話題になりました。投稿者に聞きました。 【画像】特大シーサーの全身はこちら。陶工が刻んだ細かい模様「これが黒糖なんて!!!」
「粘土で作るのも大変なのに」
話題になったのは、沖縄の黒糖工場、波照間製糖株式会社(@haterumaseitou)の投稿です。 目をカッと開き、迫力のある表情のシーサーの画像とともに、こんな文章を投稿しました。 《嘘みたいだろ…黒糖でできてるんだぜ…。この特大サイズでここまで綺麗にシーサーを作るのがいかに大変か、黒糖の性質をご存じの方にはわかるはず》 この投稿には「すばらシーサー!」「粘土で作るのも大変なのに」「できあがっていく過程が見たい」とコメントが付き、4万以上のいいねが付きました。
「守り神」ですから
この「黒糖シーサー」は、沖縄県砂糖協同組合(那覇市)が、2018年、「黒糖の日(5月10日)」に向けて、沖縄で本物のシーサーを作っている陶工、新垣光雄さんに依頼して作ってもらったものだそうです。展示された「黒糖シーサー」に驚いた波照間製糖の「中の人」が撮影して、このたびXで投稿、話題になりました。 なぜ黒糖で、シーサーを作ったのでしょうか。 同組合の宇良勇業務課長は振り返ります。「黒糖は、沖縄の代表的な特産物で、400年もの間、沖縄の経済をうるおしてきたーーつまり、沖縄の人々の暮らしを守ってきたんです。シーサーは『家の守り神』ですから、黒糖でシーサーを作ろう、と」 「初代」のシーサーは、黒糖工場で、型枠に黒糖を流し込んで重ねた、小さなものでした。この評判が良かったため、「2代目」として製作を依頼したのが、今回話題になったシーサーだったそうです。 2代目の製作にあたって、読谷村にある新垣さんの工房まで、会長が尋ねて行き、頼み込みました。ブロック状の黒糖約30キロを提供して、そこから削りだしてもらい、約30センチのシーサーが完成したそうです。
ハンマーで割るしか
投稿した波照間製糖株式会社の「中の人」は、その製作の大変さをおもんぱかります。「黒糖は、作る過程で煮詰めるのですが、半練り状から一度固まってしまうと、ものすごくかたくなるんです」 サトウキビを煮詰めて作る黒糖。固まった後は、ハンマーなどの道具を使って割るか、削るか、お湯で溶かして形を変えるかしかないそうです。 その黒糖の性質を知ってからみると、繊細なシーサーの表情に驚かされます。 投稿には、「温度管理が大変そう」などのコメントがつきましたが、「黒糖は常温の環境下では頑丈です。チョコレートのように、高温で溶けることはありません」と言います。 「アリが寄ってきそう」と心配するコメントもありましたが、「多すぎる砂糖には、アリは近寄らないんです」と中の人。砂糖は水分を吸う「親水性」が高く、大量の砂糖の中に入ってしまうとアリは体内の水分が奪われてしまい、脱水状態で弱ってしまうそうです。「だから黒糖工場にもアリは近寄りません。虫が来ない対策はもちろんしていますが」