小川敦也が抜けた今季、間山柊もインカレ前に離脱…… 手負いの筑波大、浅井英矢主将を軸に一時「意地」の同点
ハドルでの声かけを今まで以上に意識
試合後の控室。インカレで最後の指揮を執り終えた吉田監督は、ミーティングで選手たちに「今年はいろいろあったなぁ」と語りかけたという。その上で「4年生だけの問題じゃないし、3年生以下もこの1年間にあったことに対して反省して、来年以降に生かしていこう」と告げた。チームにとっては、本当にいろいろあったシーズンだった。 大きな出来事として挙げられるのは、ポイントガード小川敦也のB1宇都宮ブレックス加入だろう。3位となった前回のインカレでは、3年生で優秀選手賞とアシスト王、そして最もインパクトを残した選手に贈られる「MIP賞」を受賞した。 チームとして快くプロに送り出した一方、今シーズンの筑波大をまとめるリーダーシップには課題を残した。「キャプテンシーやチームビルディングというところで、最初はすごく悩んだ。リーダーシップを取れるのって、一番はガードなんですよね。ボールを一番最初に持って指示したり、ディフェンスも最初にやったりするので」と吉田監督。主将の浅井はパワーフォワード。197cmの長身を生かし、スクリーンやリバウンドなどへの期待が高いポジションだ。「4番(パワーフォワード)や5番(センター)の選手がリーダーシップを取りたくても、ボールが来ない限りプレーできないから、『頑張ろう』とか単発的な言葉しか出てこなくなるので、そういう意味で難しい」と吉田監督は言う。 浅井自身もその課題を感じていた。「シーズン序盤から、そこがうまくいってないことは浮き彫りになっていました。その分、3年生に頼る部分が多くなってしまって……」。試合をコントロールできない分、ハドルで積極的に声をかけた。「3年生まではコートでの声かけやコミュニケーションもあまりできていなかった」と浅井。主将になったことで意識できるようになったのは、成長の一つだろう。
今回の悔しさを忘れず、次なる舞台で
吉田監督のラストシーズンということ自体にはプレッシャーを感じていなかったが、秋季リーグを7勝15敗で終えるなど、勝てていないことに浅井は責任を感じていた。「吉田先生は、筑波大学をここまで引っ張り上げてくださった方。こういう最後になってしまったのは、本当に申し訳ないと思っています」 浅井は大学を卒業した後も、バスケ選手としてのキャリアが続く。今までのバスケ人生で、こんなに壁にぶつかって、乗り越えるためにここまで考えたことはなかったという。今回の悔しさを次なる舞台にぶつけてほしい。
第76回全日本大学バスケットボール選手権大会 男子2回戦
12月5日@横浜武道館(神奈川) 神奈川大学 81-69 筑波大学
井上翔太