お金と幸せに関係はあるのか。金持ちへの成長で幸せ4因子を導いた人
人口が減少し、社会の成長が見込めない時代といわれます。一方で、科学技術の進化が、高齢化の進む日本の未来を、だれにとっても暮らしやすい社会に変えるのではないかともいわれています。わたしたちは一体どんな社会の実現を望んでいるのでしょうか。 幸福学、ポジティブ心理学、心の哲学、倫理学、科学技術、教育学、イノベーションといった多様な視点から人間を捉えてきた慶応義塾大学教授の前野隆司さんが、現代の諸問題と関連付けながら人間の未来について論じる本連載。19回目は前回テーマにした「幸せのメカニズム」の幸福の4因子を満たしているバリ島の事業家について紹介します。 著書『幸せのメカニズム』(講談社現代新書、2014年)のために書いたのに、編集の方にボツにされた文章。丸尾孝俊さんと加藤せい子さんについて書いた部分を、今回と次回、公開しましょう。 本書の後半部分に、紫竹昭葉さんについて書いた文章が載っています。この文章の前に、本来は、以下の文章が載っていました。 ---------- さて、これから、幸福の4因子を満たしておられる3名の方をご紹介したいと思います。花畑の創造、ビジネスの創造、達人の創造と、分野は違いますが、皆、創造に関係しています。まずは、帯広の夢の庭造りで有名な紫竹昭葉さんをご紹介しましょう。まさに、美しいものを創造している具体例です。 紫竹さんは、もうすぐ九十歳というご高齢ですが、元気いっぱい、幸せいっぱいの方です。『紫竹おばあちゃんの幸福の庭』(紫竹昭葉、NHK出版、2008年)などの著作でも有名です。 ---------- 本書をご覧になるとお分かりのように、本来は、紫竹さんの後に、丸尾孝俊さんと加藤せい子さんについても掲載する予定だったのです。しかし、編集の方に、文章を少し減らしたいので、事例はお一人にしませんか、と提案を受け、泣く泣く削ったのでした。丸尾孝俊さんと加藤せい子さんには、「本に載せるよー」と言ってあったので、とても気まずくて困ったものでした。 では、今回は、丸尾さんについての文章を公開しましょう。 以下、幻の原稿です。