お金と幸せに関係はあるのか。金持ちへの成長で幸せ4因子を導いた人
丸尾さんとは何者なのか。ユニークな生き方をされ、自己実現をされている方です。バリ島に渡り、無一文から富を築いた和僑、丸尾さん。大規模な不動産デベロッパーとして、現地では知らない者がいないというほどの大経営者です。まさに「自己実現と成長」。オリジナルなビジネスの創造です。 しかも、現地の伝統的な良さや人々のつながりを生かし、現地の方の雇用を確保し、みんなの幸せのために開発を行う。「自分だけ金持ちになろうなどと思うな。人様に儲けさせてあげたい、人様に感謝し人様を豊かにしてあげたいと思え。あらゆることに感謝しろ。縁を大事にしろ。」とおっしゃいます。「つながりと感謝」そのものですね。 「経営者としてたくさんの人を雇い彼らの生活を守り続けるために最も大事なことは、感謝を受け続けること。これに限る」と力説します。地元にインフラや学校やサッカーコートを寄付し、地元の人々を雇い、自分のことのように分け隔てなく面倒を見て、本当に、多くの人に慕われている。私もバリのご自宅にうかがいましたが、現地の方にも日本人にも外国人にもオープンで、みんな仲間、みんな家族、という生き方です。プライベートなんかない。「全部ばれとく」「ものを大切にするための一番の方法は、それが欲しいという人にあげること。それが巡る」。完全にオープンです。私利私欲がありません。 そして、とにかくポジティブで楽観的。人間は、生まれる前は「無」だった。死んだらまた「無」に戻る。「生かされている」んだから、なにも執着はない。何でも来い。すべてはなりゆき。何にも思い込みや思い入れはない。まさに究極の「まえむきと楽観」です。 最後に、「独立とマイペース」。人のいうことを鵜呑みにするな。みんなから「あいつは悪いやつだ」といわれている人がいても、その言葉を信じるな。自分で判断しろ。「今の日本は過半数が間違っているから、少数派になりなさい」「人と違うことを徹底的にやりなさい」「人とは違うタイプになりなさい」と言います。 それは、「人の目を気にしない」ですね、と聞いたら、「違う。人の目を気にするか気にしないかじゃない。本当に人のためになろうと思っていたら、人の目を気にするとかしないとか考えている場合じゃない。やるしかない」といいます。「独立とマイペース」どころではない。「みんなの心の中には誰も皆、魂がある。それを活かすか活かさないかで人生は違う。恥ずかしがっている場合じゃない。どんどんいけ。さわやかに。」圧倒的です。 幸せの4因子を満たしているなんてものではない。それらが、「無」から無限のエネルギーになって湧き出ているような方です。「日本も、みんなが昔持っていた、共感、共有、共存を取り戻さなければならない。今すぐ変えないと、大変なことになる。」スケールが大きく、ご縁で知り合ったみんなを幸せにしたいという気概が心の底から湧き出ている方です。バリを訪問し、お話をした晩は、私も興奮して寝られませんでした。毎日、訪問する方が後を絶ちません。そして、丸尾さんは、誰とでも分け隔てなく会って話し、「共感、共有、共存」の輪を広げていく。 つまり、丸尾さんは、金持ちだから幸せなのではない。そんなみみっちいレベルではない。地位財も持っていますが、非地位財である幸福の4因子を圧倒的に満たしておられるから幸せなのです。もちろん、フォーカシング・イリュージョンにとらわれてはいない。利他です。いや、利他という言葉が陳腐に感じられるくらい、人々への愛に満ちています。「俺は幸せだ」とおっしゃいます。すべてを持っているから。持っていないものは何もない。金もある。地位も名声もある。そして、何より、信頼しあえ、慕ってくれるたくさんの仲間がいる。 最後にお話ししたことが印象的です。 「では、今後の夢は?」 「だから、言ってるでしょう。なりゆきだって。何にもとらわれていないから、幸せだし、人を幸せにできる。今を生きることです。」 すべてを持っているが、すべては究極には「無」だと知っている。偉大な宗教家のようです。 ■丸尾孝俊さん(インドネシア バリ島 PASTIグループ ファウンダー) 著書に、『大富豪アニキの教え』(ダイアモンド社、2012年)、『バリ島大富豪“兄貴”に学ぶ豊かさを導く31の「与え方」』(主婦の友社、2013年)、『アニキのニッポン論』(マイナビ、20013年)、『金のなる木の育て方』(東邦出版、2013年)、『バリ島アニキ 幸せ金持ち計画』(宝島社、2013年)など多数。 ※次回は10/30ごろ掲載予定です。