横浜F・マリノス指揮官の“指笛疑惑”を巡ってネット炎上…その真相は?
昨年10月に「いえぽん@プロサッカー審判」のアカウント名でツイッター(@referee_iemoto)を開設し、積極的に発信している家本主審は21日午後に、何をしていたのかを問うフォロワーのリプライにこう返している。 「名古屋側から横浜ベンチから指笛が鳴ったと言われたので横浜スタッフの方に、もしそれが事実なら紛らわしいのでやめてほしい、次同じことがあれば違う対応をしますと伝えました。審判団が確実に確認できていないものに対処はできませんし、実際横浜ベンチから指笛が鳴ったのかは我々にはわかりません」 指笛と思われる音の発信源を含めた詳細を把握していなかった以上は、再発防止を含めて、審判団として取れる精いっぱいの対処だった。それでもマリノスベンチ、なかでも8月から指揮を執るマスカット監督は自身に疑惑の目が向けられる状況を理解していた。 報道によれば、21日の練習後に応じたオンライン取材で指笛の件を問われた、現役時代にはオーストラリア代表として活躍した48歳の指揮官は「いろいろなことが聞こえてくるが、決して真実ではない」と疑惑を真っ向から否定したという。 しかし、名古屋戦後から批判が飛び交い、炎上状態だったSNSやネット上の情勢は収まるどころか、マスカット監督の全面否定を受けてさらに激しさを増している。 実は8月25日のサガン鳥栖戦、同28日の鹿島アントラーズ戦、今月11日のサンフレッチェ広島戦でも同じような状況が生じていたことを示す動画が相次いで投稿された。最終ラインの裏へ相手フォワードに抜け出され、マリノスがピンチに陥りかけた直後に配信映像のなかで鳴り響く、主審のホイッスルにも似た音が確認できる。 Jリーグでは昨年6月28日に、新型コロナウイルス禍による長期中断から再開された明治安田生命J2リーグの京都サンガ対ジュビロ磐田戦で、後者のフェルナンド・フベロ監督(当時)が試合中に何度も吹いた指笛に対して主審から注意が与えられている。 2019シーズンの途中に就任したフベロ監督の「癖ではなく、合図なんです」と磐田側は説明。縦へ攻め込む勇気を欠いたときに、チームを鼓舞するツールとして必要だと主張したが、主審のホイッスルと勘違いしかねないという理由で自粛が要請された。 しかし、消極的な試合展開に陥ったときに鳴り響いた磐田の指笛と異なり、マリノスが戦った試合で4戦続けて確認されている主審のホイッスルのような音は、直近の名古屋戦では結果として敵味方を問わずに、一瞬ながらも選手たちを惑わしている。 制限付きながら有観客で開催されている今シーズンも、声を出しての応援は引き続き禁止されている。不必要な音までもが響いてしまう状況だからこそ、得点機会の損失だけでなく最悪の場合は試合結果をも左右しかねない迷惑行為は言語道断であり、再発防止を徹底していく意味でも、事実を検証・解明する作業が必要になってくるはずだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)