<侍JAPANの井端監督も>「みるみるうちに痩せていく」「入学式前に1/4以上が辞める」…二人の大物OBが振り返る「日本一厳しい亜細亜大野球部」での「プロになれた分岐点」
”指導”中に窓ガラスがパリーンと割れて
与田 朝、部屋の扉を開け閉めするのも緊張しましたよね。横に引くタイプでしたが、なにせ古い寮だからレールの上をスーッとは滑ってくれない。少し動かしただけでもカタカタ、キィキィ鳴る。 さっき話した朝礼が6時からですが、1年生はその前に部屋のゴミ捨てからコップなどの食器洗い、寮内のそれぞれ担当になっている場所の掃除、新聞受けから朝刊を取ってきたり、いろいろやることがあるから5時過ぎに起きるんですけど、先輩は寝ているから音を立てられない。冬場は4年生から1年生まで全員参加の早朝ランニングがあって、それが朝5時出走だから4時半起きでしたね。 阿波野 1年生は朝礼のあとはグラウンド整備に行ったりするけど、朝礼には出ない上級生はまだ寝ていて、言われた時間になると一旦、部屋に戻って起こしに行くけど、ガーッなんてやったらね。 与田 ソッと開けて、ちょっとずつちょっとずつズラして、半分くらい開けたら体を半身にして滑り込ませてという。それだけで2、3分かかりましたよ。 阿波野 掃除の仕方もきちんと決まっていたり、下駄はこう並べろとか、細かいことまで教わった。ちょっとしたことなら部屋の中で処理されるけど、僕らが直接、怒られるわけではなく1学年上の先輩が怒られるから、それもちょっとツラいよね。 与田 「どういう教育をしているんだ!」と。 阿波野 それに、そういうのがあちこちの部屋で出始めると引き締めるために集合になる。 与田 2年生が1年生を集合させて、いろいろと教え導いてくれましたね。 阿波野 最初のうちはまだ高校から来てとんがっているヤツとか、勘違いしているヤツとかもいて、そういうヤツらには、かなりの指導が入ったね。大人になりきっていないもの同士で加減もわかっていないから、行き過ぎちゃうこともあった。 与田 勢い余って窓ガラスがバリーンと割れたり。 阿波野 僕も1回、柔道みたいに投げ飛ばされて足を怪我したことがあった。パンチと僕と、あと2人ぐらいは1年の春からリーグ戦のメンバーに入っていたから妬みもあったのかもしれない。それで諦めなきゃいけない上級生も出てくるからね。でも、僕よりもパンチのほうが口が達者だから標的になりやすかったんじゃないかな。
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