米利下げ、慎重でデータに基づくアプローチが適切-ボストン連銀総裁
(ブルームバーグ): 米ボストン連銀のコリンズ総裁は8日、金融当局者は米経済の強さを維持するために金利を引き下げる際に、慎重かつデータに基づいたアプローチを取るべきだと述べた。
先週発表された予想を上回る9月の雇用統計を含む最近のデータは、米国の労働市場が「全体的に良好な状態」にあることを示していると指摘。労働市場が健全さを保ちつつ、インフレ率が「タイムリーに」当局目標まで戻るという自信を深めているとした。
ボストン連銀主催の地域銀行関連会議向けの講演原稿で、「今後、現在の好ましい経済状況を維持するためには、金融政策のスタンスを調整し、需要を不必要に抑制しないようにする必要がある」とし、「両面のリスクを均衡させ、物価の安定と最大限の雇用の実現という議会が定めた責務の双方に引き続き細心の注意を払うためには、政策正常化への慎重かつデータに基づいたアプローチが適切になる」と指摘した。
米金融当局は先月、0.5%の利下げを決定し、予想を上回る規模で金融緩和サイクルを開始した。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、利下げは経済を支援することが目的であり、インフレ率が2%目標に向かって低下するという当局者の自信の高まりを反映していると語った。
最新のデータによると、米国の労働市場では先月の非農業部門雇用者数が前月比25万4000人の増加となり、失業率は4.1%に低下。金融当局者にとってより緩やかなペースで金利を引き下げる余地が広がった。予想を上回る雇用統計により、労働市場に対する懸念が和らぎ、当局へのプレッシャーが幾分軽減された。
コリンズ氏は、景気抑制的な金融政策の影響は金利に敏感な経済セクターで感じられるようになったと言及。労働市場が冷え込み、経済成長が鈍化しているため、米経済は現在、ショックに対してより「脆弱(ぜいじゃく)」になっているとも述べた。
「ディスインフレの軌道に対する私の自信は高まっているが、物価の安定を取り戻すために必要な水準を超えて経済が減速するリスクも高まっている」と話した。