「早大三羽がらす」武井隆次さんの箱根予選会解説…「酷暑」のレースで集団走だけでない駅伝対応力も試された
第101回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝=関東学生陸上競技連盟主催、読売新聞社共催)の予選会が19日、東京都立川市内で行われ、トップ通過の立教大など10校が本大会へのキップをつかんだ。1990年代の箱根路を沸かせた「早大三羽がらす」の一人として知られる武井隆次さん(53)が、レースを振り返った。
スタート時から、強い日差しで気温がじりじりと上がっていった今年の予選会。留学生の先頭集団はそれほどペースが落ちなかったが、10月半ばにしては過酷なコンディションでそれより下の集団の走りがやや詰まっていた印象だ。
序盤の陸上自衛隊立川駐屯地内と中盤の市街地は平坦で走りやすい、15キロ付近からの国営昭和記念公園内はアップダウンがあり、集団走でもばらける展開になる。エースを生かしたうえで、後半にいかにタイムを落とさないかの勝負になった。
終始ペースが安定していた立教大、日体大
典型的だったのは13位の国士舘大で、前半は留学生エースと集団走がうまくかみ合っていたが、後半は崩れて順位を落としてしまった。前半で前につけていたチームの多くが後半はペースを落とした中で、集団走の巧さが光ったのはトップ通過の立教大と4位の日本体育大だ。
立教大は各走者が大崩れせず、10人中8人が個人2けた順位で走った。日本体育大学は集団走にはもともと定評があり、前半から前に着け、さらに上がっていくうまいレース運びだった。ともに強力な留学生エースこそいないが、終始安定して走り切った。2位の専修大、3位の山梨学院大は大躍進で、留学生エースが実力を出し、後ろも大崩れせずにまとめた。
きょうのようなコンディションでは、例年に増して、より後半型のチーム作りをしておくことが大事だと感じた。
「トップ候補」東海大は無念の敗退
私がトップ通過の本命の一角と予想していた東海大だが、10位の順天堂大と2分余りの差で14位だった。10人目で走っていた選手がゴール目前で走れなくなり、途中棄権をしたことが何とも不運だった。それまでは予選通過圏内で走っていたと見られるが、予選会は上位10人の合計タイムで競うだけに痛恨のアクシデントだった。予選会のコースは最後、曲がりながらのぼってゴールするので、きょうのような暑い日では、疲労困憊の選手にあのような「事故」も起きやすいのではないかと思っている。