専門家も「現場の安全管理はもう限界」自衛隊射撃場での3人死傷事件から1年 今も根強い“地域住民からの信頼”
■「自衛隊というよりも“個人の問題”」…40年前に同様の事件が地域でも「厚い信頼」
かつて、同様の事件があった地域はほかにもある。山口市の陸上自衛隊・山口射撃場の周辺だ。
1984年2月、射撃訓練中の当時21歳だった隊員が、同僚に向けて発砲し、撃たれた4人のうち、1人が死亡した。岐阜の事件で逮捕された男も、この事件について言及したとされている。
発砲した隊員は、小銃を持ったまま自衛隊の車両で住宅地に逃走し、車を乗り捨てた末、およそ5時間後に身柄を確保されたという。 現地での取材で、当時のことを知る人に話を聞くことができた。 事件当時から現場近くに住む女性: 「(隊員が)どこにおるってわからんじゃないですか。だけどおることはおったけど、犯人が家の中に来たら怖かったなっていう気持ち」 自宅から数十メートルの場所に、4人を撃った隊員が逃げてきたという。
地域を脅かし、大混乱となった事件だったが、近くに住む人たちからは自衛隊に対しては、肯定的な声が続いた。 事件当時から現場近くに住む女性: 「自衛隊さんはようしてくださるから。災害の時はね。ありがたいと思っています」 現場近くに住む男性: 「私は別に、自衛隊を肯定的に捉えておるから。そんなにどうこうということはない」 現場近くに住む別の男性: 「全て問題がある訳では全くないです。自衛隊だからというよりも、その人に理由があるのだと個人的に思うので」
外国の侵略から国を守るという使命だけでなく、災害時の人命救助や復旧、さらには新型コロナのワクチン接種など、国民のために活躍してきた自衛隊。信頼があるからこそ、受け入れられているからこそ、安心・安全を脅かすことは、2度と許されない。そんな思いが、彼らの中にあるはずだ。 事件から1年を受け、陸上自衛隊第10師団長の酒井秀典陸将は「国家・国民の信頼を受けて、武器使用を許可されている組織として、絶対にあってはならないこと。事案を風化させないこと、尊い命が失われることがないよう、自衛官としてあるべき姿について更なる徹底を図る」とコメントを出した。 2024年6月14日放送