「神様が架けた橋みたい」 ウソみたいにきれいな細長い雲の正体は…前線に沿った雲の列「ロープクラウド」
先日、気象レーダーで沖縄付近に長い「ひも」のような雨雲が観測されたというSNS投稿が話題になりました。細く長い、この雨雲の正体を専門家に聞きました。 【画像】衛星から見たウソみたいに細長い線状の雨雲はこちら
「神秘的」「島々がロープで繋がったよう」
話題になったのは、気象庁気象研究所の主任研究官で、雲の研究をしている荒木健太郎さん(@arakencloud)が11月2日に投稿したものです。 「沖縄あたりにウソみたいに綺麗な線状の雨雲があるんですけど、気象衛星でもちゃんと見えているのでウソではなくて本物です」との文言とともに、気象衛星の画像や降水強度分布のレーダー画像が投稿されています。 画像を見ると、鹿児島の種子島、屋久島周辺から南西方向へ、沖縄本島付近を通り、宮古島、石垣島の南側辺りまで細長いひものような雲が伸びています。 この投稿に、「こんなにきれいに線状の雲が現れるなんて」「天気の神様の架け橋みたい」「島々がロープで繋がったよう」「神様が渡る道みたい」「神秘的」「レーダーの異常か何かだと思っていました」とのコメントとともに、6.7万ものいいねが付きました。
寒冷前線に沿って発生した積雲の列
荒木さんによると、これは「ロープクラウド」と呼ばれている雲だそう。 「寒冷前線に沿って発生する細長い積雲の列」と説明します。ちなみに積雲とは、夏の晴れた日によく見られる、綿のような雲のことです。 ロープクラウドは幅10~30kmほどで、長さは2000~3000kmに及ぶこともあります。今回、沖縄付近に発生していたロープクラウドは直線距離で1000km以上あり、通常程度の長さということです。 それにしても、「ロープクラウド」という言葉はあまり聞かないような気も……。珍しいのかと尋ねたところ、「ちゃんとした統計はないので不明ですが、明瞭なロープクラウドは今年2月22日にも見られていました」とのこと。 荒木さんは「ロープクラウドはあまり発達していない積雲の列のことが多いですが、今回はレーダーでも見えているように雨を伴うもので、通過時には一時的に雨が降っていました。天気の一次的な変化や気温の低下をもたらすものではありますが、大きな災害には直接的にはつながるようなものではないですね」と話しています。