与田新監督は6年連続Bクラスの中日を変えることができるのか?
中日の新監督に決まっていた与田剛氏(52)の就任会見が15日、名古屋・栄のクラブ東海で行われた。与田監督は、1990年にNTT東京からドラフト1位で中日に入団。ルーキーシーズンに最速157キロの豪腕ストッパーとして31セーブを挙げて最優秀救援投手と新人王に輝いたが、故障に苦しみロッテにトレードで移籍。その後、日ハム、阪神でプレーしたが2000年に引退。2度のWBC投手コーチを経て、2年前から楽天の投手コーチに就任、今季は2軍コーチを務めていた。 この日の会見で与田監督は、まだ本籍を名古屋に置いてある事実を明らかにした上で「錚々たるドラフト候補がいる中で単独指名をしてもらい、私をプロにしてくれた球団。その思いは一生忘れることはない。名古屋に帰ってきたいという気持ちが長年あった。強いご縁、運のいいことだなと感じる」と、ドラゴンズ愛を語った。 今季は楽天の2軍にいたため、中日の試合はほとんど見ていない。 「いい加減なことは言えないが、ここ数年の低迷はわかっている。交流戦もあるので敵チームの感覚で見ていた。うまく結果は出ていないと見ていた。良くも悪くも原因がある。(Bクラスに終わった)原因を追究して数字だけでなく中身も検証していきながらひとつひとつ課題をクリアしていく必要がある」 まだ具体的な再建案は固まっていないが、どんな野球を目指すのか?という絵はある。 「攻めたい。相手ピッチャーが嫌がることをすべて考えて攻めていきたいし、向こうのペースで動かせないように常にプレッシャーをかけていきたい。守備でも攻められる。ピッチャーにも攻める意識を植え付けていきたいですね」 ――どうやって、それを実現する? 「攻める気持ちも。自分がどういう攻め方ができるかを選手に考えてもらわなければいけない。監督、コーチが気がつかないところを気づかせてあげる。そこが大切」 それは“闘将”と呼ばれた故・星野仙一氏から継承するイズムでもある。 「歴代の監督さんの良さを少しでも思い出しながら、今の時代の選手の感性を見極めながら選手に合った指導をみつけていきたい。星野さんは、常々、『選手が最優先』とおっしゃっていた。『じっくりみろ』とも。指揮を執っていく上で、選手の満足度を自分の満足度に変えるんじゃなく選手の満足度をひとつひとつ考えてあげたい。だから、選手が距離を取りたいのならば近づいていく。まだ誰とも腹を割って話したこともない。与田は、どんな男なのか?と、最初は互いに探り合いながら、嫌われても近づいていきたい。そして『俺を使ってくれ!』と、どんどんアピールして対戦チームより私に向かってきて欲しい」 与田監督は、選手との対峙の仕方を明らかにしたが、彼の指導者としての長所は、こういうコミュニケーション能力の高さにある。森前監督には欠けていた部分だ。6年連続でBクラスに終わり、選手が自信を失い、勝つ味を忘れているチームの潜在能力を掘り起こしていくには、こういう指導者のアプローチは重要だろう。中日は劇的に変わるのかもしれない。