「中国、ロシアと北朝鮮の関係強化を懸念」 米国務副長官が指摘
米国のキャンベル国務副長官は18日、中国がロシアと北朝鮮の関係強化を懸念しているとの見方を示した。「中国にはこれまで享受してきた北朝鮮との支配的な関係が、ロシアに取って代わられるという懸念がある」と説明。対露関係の強化により、北朝鮮が中国の利益に反する行動や軍事分野の開発を進めることも警戒しているという。 米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」のイベントで語った。中国は表向き露朝関係に関与しない姿勢を示すが、米政府はこの問題で中国側に北朝鮮への影響力を行使するよう求めてきた経緯がある。 キャンベル氏は、露朝の関係強化に関する米政府と中国のこれまでの協議について「北朝鮮が追求していることについて、我々が知らせたいくつかの内容を中国側は把握していなかったようだ」と説明し、北朝鮮に対する中国の影響力が低下している可能性を示唆した。その上で、北朝鮮の行動が危険であると中国が理解するように働きかけているとした。 一方、米朝関係については、2019年にトランプ大統領(当時)と金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記がベトナムで会談し、核の放棄などで折り合わず決裂して以降、「外交的な関与は事実上ない」と明かした。 次期大統領のトランプ氏は、北朝鮮の核兵器保有を容認する可能性があるとの報道もあるが、キャンベル氏は「(米国の対北朝鮮)外交は、朝鮮半島の非核化という考えに基づいていることを忘れてはいけない」と述べた。 また、バイデン政権が進めた日米韓の協力関係の強化が、トランプ次期政権への最優先の引き継ぎ事項だと強調した。【ワシントン松井聡】