被害児童の声、どう生かす 増える虐待、撲滅へ警察・検察・児相が「代表者聴取」強化
ただ、代表者聴取も使い方を間違えば、十分な効果を発揮することはできない。
たとえば、愛知県犬山市のアパートで今年5月、小1の女児=当時(7)=が内臓を損傷する激しい暴行を受けて死亡し、傷害致死罪で母親の交際相手が、保護責任者遺棄致死罪で母親が起訴された事件。
児相は事件前4年12月に虐待を察知し、2度にわたって女児を保護したが、いずれも解除。代表者聴取も行われたものの、女児から具体的な証言を得ることはできず、最悪の事態を防げなかった。
検察OBの弁護士は「代表者聴取は最初から行うべきで、(対応が)後手に回った印象がある」と語る。
「(被害者の声に)真摯(しんし)に耳を傾けるよう努められたい」。最高検は平成26年、被害者への配慮を徹底するよう、全国の検察に通達している。
法務・検察幹部はいう。
「捜査官が無抵抗の子供への虐待を絶対許さない厳しい姿勢と、幼い被害者を思いやる気持ちの双方を決して忘れず、両立させなければ、事件撲滅など望めない」(大島真生)