被害児童の声、どう生かす 増える虐待、撲滅へ警察・検察・児相が「代表者聴取」強化
児童虐待の被害者となった子供らの負担を減らすため、検察と警察、児童相談所(児相)の3者が連携し事情聴取を行う「代表者聴取」の強化が急務となっている。政府は平成30年、児童虐待防止などのため、代表者聴取の活用や3者の情報共有強化などを定めた総合対策を策定。ただ、児童虐待の児相への通報件数は令和4年度に過去最多を記録するなど、状況は依然として好転していない。 ■新設機関の運営開始 代表者聴取は、虐待や犯罪被害を受けた児童に対し、検察と警察、児相の3者やそのうちの2者の代表者が面接官として聞き取りし、聴取内容を共有する。「司法面接」とも呼ばれる。 検察OBの弁護士は「児童の証言が、最も真実を物語る」とした上で、「聴き方によっては大人の思い込みや先入観で児童が誘導されかねない。こうした事態を避ける最善の策が代表者聴取だ」と説明する。 以前は検察官や警察官、児相の職員が、それぞれの立場で必要な内容を児童から聞き取ってきたが、聴取回数がいたずらに増えて負担が重くなりがち。誘導や暗示の影響を受けやすい児童の証言の信用性が損なわれる危険性も高かった。 犯罪白書によると、代表者聴取のうち、3者が連携して実施した件数は平成28年度に204件だったのが、令和3年度は7倍超の1529件に増加。検察と警察の2者が連携した聴取は同年度に2417件となっている。 ■虐待は過去最多 一方、4年度の政府統計によると、同年度に児相が相談を受けた18歳未満の虐待件数は21万件超。児相が受け付けた通報の件数は前年度から1・3%増の21万9170件と、過去最多を記録している。 犯罪白書によると、4年の摘発件数も前年比0・3%増の2181件に。中には、強制わいせつ事件など、被害者の申告内容が重要な意味を持つ事件も目立つ。 法務・検察幹部はこうした事件について、「幼い子供からの事情聴取の成否が、犯行の詳細かつ正確な把握のための最大のポイントとなる」と指摘。代表者聴取の重要性を強調する。 ■最悪の事態