2025年の体制に揺れるポルシェ。IMSA行きが噂されるクリステンセンは「WECに残るために戦う」
ポルシェのワークスドライバーであるミカエル・クリステンセンは、自身が来季2025年にIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPプログラムに移籍するのではないかという憶測が流れるなか、現在参戦中のWEC世界耐久選手権に「残るために戦いたい」と語った。 【写真】WEC富士でファンサービスに応じるアンドレ・ロッテラー ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイドは先月、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で2025年もドライバーの“シャッフル”が行われる可能性があるとSportscar365に語った。ドイツのメーカーは今年、デイン・キャメロンとマット・キャンベルをWECとIMSAの間で入れ替えている。 パドックの推測によると、クリステンセンと現在IMSAのトップカテゴリーを戦っているマシュー・ジャミネが、このシーズンオフに同様のプログラム移籍の対象になる可能性があるという。 WEC第7戦が行われている日本の富士スピードウェイで、Sportscar365から将来について尋ねられたクリステンセンは、「僕はポルシェと契約している。僕に関係する将来の計画があるかどうかは、まだ連絡をもらっていない」と語った。 「成り行きを見守るしかない。いろいろなうわさがあるのは確かだが、経営陣からは何の情報もない。僕はうわさを聞いているだけだ」 「正直なところ、事実かどうかなんて分からない」 5号車ポルシェ963でキャンベル、フレデリック・マコウィッキとチームを組む彼は、今季開幕戦となったカタールで3位フィニッシュを果たす途中でタイヤトラブルに見舞われた。また、第3戦スパでブランシモンの縁石に乗り上げた直後、安全上の理由からハイブリッドシステムが停止した際も5号車のステアリングを握っていたのは、このデンマーク人ドライバーだった。 WECとIMSAのどちらでレースをしたいかと問われた彼は次のように答えている。「WECのほうが居心地がいいと感じている」 「だから、ここに残るために戦いたい。でも、それを決めるのは僕じゃない」 「IMSAのレースも間違いなく楽しんでいるけれど、ル・マンのこともあるからWECのほうが好きだ。これは1年に1度のレースであり、そのためにできる限りの準備をしておきたい」 「もちろんサードカーに乗ることもできるだろう。しかしWECが僕にとって一番の選択肢だ。これがル・マンに備える最善の方法だからね」 ■6号車のラインアップが変わらないことを願うロッテラー IMSAチームからWECチームへの加入が噂されるジャミネと同様に、ジュリアン・アンドラウアーも今年、カスタマーチームのプロトン・コンペティションで素晴らしい走りを見せたことから、来年のWECでファクトリーカーをドライブする可能性があると囁かれている。 これは、現在ケビン・エストーレ、ローレンス・ファントールと6号車ポルシェ963をドライブして選手権をリードしている、アンドレ・ロッテラーに影響を与える可能性がある話だ。 しかし11月に43歳になるロッテラーは、今年のキャンペーンが成功すれば、ポルシェが2025年シーズンも6号車のドライバーラインアップを変更しないことを納得してくれるのではないかと期待している。 Sportscar365から、来シーズンも現在のクルマをドライブし続ける自信があるかと尋ねられたロッテラーは、次のように答えた。 「そう願っている。僕たちはチャンピオンシップをリードしているし、良い仕事をしていると自負している。僕、ローレンス(・ファントール)、ケビン(・エストーレ)は良いトリオだと思う。僕らのエンジニアたちも一緒だ」 「僕たちは多くのレースで強さと一貫性を見せてきた。全員がチームの中で自分の役割を持っているんだ。だから、彼らが必要のないことを変えないことを望むよ」 ディウグイドが今週末、富士スピードウェイで記者団に語ったところによると、2台のドライバーラインアップはまだ確定していないが、ファクトリーロースター全員のパフォーマンスに満足しているという。 「すべての選択肢がまだ検討されている」と彼は述べた。「私たちは(決断に)近づいていると思う。ただし、決定のタイムラインがあるとは言えない」 「以前にも言ったように、現在の10人のドライバーは全員が本当に良い仕事をしている。私たちは悪い人材プールから選んでいるわけではない」 ■6時間レースで3名を維持するメリット WECが提案している“ドライバー3名体制の義務化”が来年に向けて承認される見込みがないため、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクターは一部の6時間レースで2名体制を検討する可能性を示唆したが、同時に3名を維持することの利点を指摘した。 「それは私たちが検討していることのひとつだ」と語ったディウグイド。 「もうひとつ考えているのは、これらの6時間レースは現在ほぼスプリントレースになっているということだ。ふたりのドライバーを交互に走らせるのは、肉体的というよりもミスをしないようにする部分で精神的にかなり難しい」 「とくに今年のWECクルーの強みのひとつはミスの数が非常に少ないことだと思う。そのおかげで勝てるポジションにいるのだと思う」 「私たちはペースだけでなく、信頼性だけでなく、すべてを考慮して成功できるように最適なポジションに配置しようとしている」 [オートスポーツweb 2024年09月14日]