自民・国民が政策協議へ、所得減税が最大の焦点に-党首会談調整
(ブルームバーグ): 自民、国民民主両党は31日、国会内で幹事長・国対委員長が会い、総合経済対策や税制改正で政策協議を開始することで一致した。党首会談を11月9日にも行う方向で調整する。国民は基礎控除などの拡大による所得減税の実現を強く求めており、経済対策での扱いが最大の焦点となりそうだ。
自民の森山裕幹事長と国民の榛葉賀津也幹事長らが国会内で会談後、記者団に明らかにした。森山氏は補正予算、来年度予算、税制を含め、政策を個別分野ごとに協議することで合意したと語った。榛葉氏は案件ごとに与野党と協議するとの方針を伝え、自民側から理解を得たと説明した。首相指名選挙への対応について自民側から具体的な協力要請はなかったという。
国民は衆院選公約で基礎控除など所得税の非課税枠を103万円から178万円への引き上げる減税を掲げた。玉木雄一郎代表は31日、自身のX(旧ツイッター)で「103万円の引き上げができなければ、わが党は予算にも法案にも協力できません」と投稿し、所得減税を重視する姿勢を鮮明にした。
政府・与党は11月11日に特別国会を召集し、同日中に首相指名選挙を実施する方針だ。自民、公明の与党は衆院選で過半数割れしており、今後の国会運営には野党の協力が欠かせない。国民はもともと政策実現に向けた与党との協議に前向きだったが、石破茂首相が早期策定を指示した経済対策や年末の税制改正に向け、早くも揺さぶりをかけた形だ。
ただ、国民が掲げる所得減税案の実現には、他の野党から所得の高い人ほど減税額が大きくなるとの批判が出ている。
林芳正官房長官は同日午前の記者会見で、仮に基礎控除の額を国・地方で75万円ずつ引き上げた場合に「7兆円から8兆円程度の減収」が見込まれるとの試算を明らかにした。一般論として控除拡大により高所得者がより減税の恩恵を受けることも認めた。国民民主の減税案については「個別の政策の取り扱いは各政党間で議論されるべき事柄」と述べるにとどめた。