神宮外苑イチョウ並木が大混乱 路上で振袖撮影、横断歩道無視…「警察が牧羊犬のように追いかけている」
都内屈指の紅葉スポットで繰り広げられるいたちごっこ
都内でも有数の紅葉スポットである明治神宮外苑のイチョウ並木が、今年も見頃を迎えている。この時期、毎年多くの観光客が訪れ、絶好の写真撮影スポットとしてにぎわいを見せているが、“映え写真”を求めるあまり、車道に飛び出して撮影を行うなど危険な迷惑行為も問題となっている。現地を取材した。 【写真】車道で撮影する観光客に警備員が注意を呼びかける姿 「車道に出ている男女ペア、歩道に上がってください!」 晴天に恵まれた12月1日、見ごろを迎えた神宮外苑のイチョウ並木にパトカーに乗った警察官のマイクが響いた。1組のカップルが車道に出て何度も撮影を繰り返している。車道には他の観光客の姿も複数見える。パトカーが反対車線に待機していたことから大丈夫だと思ったのだろう。パトカーはUターンをして、車道に出ている観光客のもとへ。それでも日本語が分からないのか、マイクを無視して撮影を続ける者もいた。 いちょうを見に毎年訪れているという30代女性は、「警察が道路に出る人をめちゃくちゃ追いかけている。牧羊犬のよう」と驚いた様子で語った。 青山通りから明治神宮外苑の「聖徳記念絵画館」方面へと延びる約300メートルのいちょう並木は、秋になると鮮やかな黄葉で彩られ、都内でも有数の紅葉の名所として知られる。ライトアップ期間は終了したものの、イチョウはまだまだ見ごろで、ようやく散り始めたくらい。にぎわいを見せる一方で、昼夜を問わず訪れる観光客の中には、危険な行為をする人の姿もが絶えず、問題化している。 中でも再三注意されているのが、路上での撮影だ。歩行者の立ち入りは禁止されているはずが、お構いなく道路に出て、イチョウをバックにポーズを決める人が続出。警察官や警備員がパトロールしているものの、その数は圧倒的に不足している。成人式の前撮りで、振袖姿で路上に繰り出す日本人女性の姿もあった。もともとドライブスポットとしても有名で、スーパーカーがたびたび通過。この日もフェラーリやランボルギーニが勢いよく走っていく場面があり、見ているほうも冷や冷やさせられた。 さらに混乱に拍車をかけているのが、インバウンド観光客だ。体感では、訪れる人の半分以上が外国人。あちこちからさまざまな言語が飛び交い、歩道を埋め尽くしている。日本語による警告や看板は役に立たず、中には赤信号にもかかわらず、堂々と横断歩道を渡り、中央からイチョウ並木を撮影するカップルも。車にクラクションを鳴らされても、慌てる素振りはなかった。 自撮り棒や三脚を使って撮影を行う観光客が通行の妨げになっている場面もあり、特に混雑する時間帯では、歩行者同士による接触事故の危険性もあるだろう。 イチョウ並木を管理する東京都は、観光客の安全を確保するために対策を強化。カラーコーンの他、今年から新たに4か国語で表記された規制テープを設置し、観光客が車道に飛び出さないよう注意喚起している。 都の担当者は、取材に対し「交通法規を守って楽しんでいただきたい」とコメントしている。
ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム