7&i、非コンビニ事業の分離計画発表-企業価値向上へ加速
ネットスーパー撤退
一方で同日発表した今期(2025年2月期)の営業利益見通しは4030億円と、従来計画から1420億円下方修正した。コンビニ事業の不調が響き、前期実績から約25%の減益となる。ブルームバーグが集計したアナリスト15人の予想平均5240億円も大幅に下回った。
7&iHDは長引くインフレと高金利環境のなかで消費の二極化が進み、中低所得者層の消費に対する慎重な姿勢が強まったことで、海外のコンビニ事業が苦戦したと説明する。
利益の大部分を占める国内コンビニ事業についても、回復の兆しは見えていない。同日発表した9月の既存店売上高も前年同月比0.1%減で、4カ月連続のマイナスだ。
傘下のイトーヨーカ堂のネットスーパー事業撤退で、約460億円の減損も計上する。神奈川県で23年に新たな流通センターを稼働させるなど、宅配に注力する「ラストワンマイル施策」に取り組んできたが、投資回収が困難と判断した。
井阪社長は、業績が悪いのは環境変化への対応力が弱っており、遅れたことが理由だと説明。改善に向けて「口だけではだめ」で、説明した内容を具現化していきたいと強調した。
7&iHDは9月、クシュタールから総額7兆円に上る1株18.19ドル(約2700円)の新たな買収提案を受けた。初期の提案額を2割超上回り、現在の株価と比較しても約16%上回る水準だ。
井阪氏はクシュタールからの再提案について、相手の要望もあり中身は非公開とするとした上で、株主をはじめとした外部からの提案については、企業価値向上につながるのであれば、真摯(しんし)に聞いて対応すると説明した。
クシュタールからの買収提案を機に高まった外圧を背景に、構造改革のスピードは上がった。だが業績を上向かせる一手が講じられなければ、市場が買収提案を支持する姿勢を強める可能性は依然として高い。
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Koh Yoshida