変わる「駐妻」、海外赴任に同行した女性たちのキャリア断絶を防げ 三浦梓さんの思い
仕事で海外赴任する夫に同行して、数年間を外国で過ごす「駐妻」。その実態が近年、大きく変わっているといいます。フルタイムの共働き夫婦が増え、海外帯同を選べば自分のキャリアが途切れ、数年間の「空白」は帰国した際にも大きなマイナスになってしまう――。そんな女性たちの悩みをすくい上げ、コミュニティーを作り、企業と協働して「駐妻」のキャリア形成を支援する取り組みを続ける「駐妻キャリアnet」の三浦梓代表に、めざす社会について聞きました。(聞き手・構成=渡辺志帆・GLOBE+副編集長) 【報道写真】1970~80年代のプレ駐妻たち
自分が駐妻になって直面した悩み
――最初に、三浦さんご自身について伺います。夫君の海外赴任に帯同して2020年にブラジルに渡られたそうですね。 そうです。当初は3年間の予定だったんですが、ちょうど2020年1月に新型コロナがはやり始めて、2月のカーニバルシーズンに感染者が爆発的に増えてしまい、ブラジルに渡ってわずか3カ月後の2020年4月に夫の会社から、家族はいったん本帰国扱いで戻るよう言われました。結局、夫がブラジルに戻ったのはその年の8月、私が戻れたのは12月でした。 私たちが暮らしたのはサンパウロ近郊のカンピーナスという町で、医学部が有名な州立大学があったりして、日本でいう茨城県つくば市のような研究学園都市です。駐在員も多く、日本人のコミュニティーもありました。 【三浦梓/みうら・あずさ】駐妻キャリアnet代表。1981年生まれ。大学院卒業後、株式会社リクルートに就職し、営業、商品企画、人事を担当。その後、米系経営コンサルティング会社A.T.カーニーに転職し、採用責任者を務める。退職後はフリーの人事コンサルタントに。友人と映像制作会社TORCHを設立しCOOに就任(2024年1月退任)。2020年1月に自動車メーカーに務める夫の海外赴任に帯同してブラジルに渡る。その間、ブラジルで2017年に発足した「駐妻キャリアnet」の運営に携わり、2020年11月から現在まで3代目代表を務める。2024年3月帰国。