ガソリン価格が一定以上に値上がりした場合にガソリン税が引き下げられる仕組みがある? なぜ今その仕組みが発動していないの?
「トリガー条項の凍結」とは
それではなぜ今、トリガー条項は発動しないのでしょうか? これは政府が、2011年の東日本大震災の後に、復興財源を確保するため「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」によって、トリガー条項が凍結されたからです。そして、現在もその運用は継続しており、仮に凍結を解除する場合には法改正が必要となります。
ガソリン1リットルの価格の内訳
そもそもガソリン価格の内訳は少々複雑で、大まかには、本体価格、ガソリン税、石油税(石油石炭税+温暖化対策税)、消費税で構成されています。このうち消費税は、本体価格だけではなく、ガソリン税などの税金を含めたガソリン価格全体にも課税されます。 仮に、ガソリン1リットル当たりの価格を170円とした場合の内訳を考えてみると、次のようになります。 ●本体価格:97.95円 ●ガソリン税:53.8円、石油税 2.8円(石油石炭税が2.04円、温暖化対策税が0.76円) ●消費税:15.46円(10%) →170円のうち、72.06円(約42%)が税金
まとめ
原油価格の上昇や円安を背景として、ガソリン価格の高騰が続いています。ガソリン価格の高騰による影響は自動車の燃料高に止まらず、電気料金や物流コスト、製造業、農林水産業などあらゆる分野に影響を与え、最終的に国民一人ひとりの日常生活における物価高につながっています。 政府には、トリガー条項の凍結を解除した場合の財源の確保を含め、可能な限り早期に、有効な対策を実行してほしいものです。 出典 デジタル庁 e-GOV 法令検索 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律 執筆者:高橋庸夫 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部