長崎の「試合がない日も1万人が訪れる」「日本初尽くし」サッカースタジアムがすごかった。実際に行って解説~ジャパネット渾身のサッカー場だけじゃない“街”~
■スタジアムがモールの「吹き抜け」の役割を果たしている 商業施設にとって、吹き抜け(スタジアム)は「空間を中心とした回遊行動」を上手く引き起こすアイテムでもある。来客がピーススタジアムのまわりをぶらぶら回遊すると、通販でおなじみのジャパネットHDが手掛けた施設だけあって、マーケティングでいう「非計画購買(衝動買い)」を誘発するグルメやショップが各エリアにあり、ついつい財布の紐を緩めてしまう……という仕掛けが、現地で見た感じではしっかりと発動しているようだ。
長崎スタジアムシティは「試合がない日も2~3時間程度滞在」するような方が多いそうで、ピーススタジアムは良い具合に「回遊の発生・滞留時間向上=滞在で消費する単価の向上」にも貢献している。 ただ、この吹き抜け(スタジアム)は、各地のイオンモール・ららぽーとなどでよく見る吹き抜けよりは巨大で用途も少ない。しかしそこは、週末にサッカースタジアムとして活用できるので、良しとしよう。 なお、スタジアムに商業施設を併設し、試合がない日も収益を稼ぐ手法は、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」と同様だ。しかしゲーム非開催日のデータで比べると、エスコンフィールドの「平日4500人、休日1万人、観光客メイン」に対して、長崎は「平日でも1万人程度、県内の方が6~7割程度」とのこと。
敷地内にオフィスや学習塾などがあることを差し引いても、長崎スタジアムシティがとった「地元(長崎県)の方々にも来てもらう」施策が順調に受け入れられていることがうかがえる。 ピーススタジアムはサッカーの観戦環境も、抜群に良い。 最大のポイントは、広範囲にわたってピッチと座席の間隔がたったの5mとなっている点だ。Jリーグ機構が定める「ピッチの外側にそれぞれ5m以上の予備エリアを設ける」という規定ギリギリで作られており、最前列の「プレイヤーズ・スイート」席に至っては壁すらなく、普通にボールが飛んでくる。