【社説】「局地戦」誘発疑惑の尹錫悦大統領から軍の統帥権を早急にはく奪すべき
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が北朝鮮との「局地戦」を誘導して非常戒厳を宣布しようとしていたのではないか。12・3内乱後、そのような疑惑が次第に膨らんでいる。今回の事態を主導したキム・ヨンヒョン前国防部長官が平壌(ピョンヤン)に対する「無人機投入」を指示していたとする情報や、戒厳宣布の直前の先週には、北朝鮮に対する「原点打撃」を命令していたとする軍の内部情報の提供が、内乱失敗後に相次いでいる。だから国民は、尹大統領が依然として大韓民国の合法的な「軍の統帥権者」であるということに、大きな不安を感じざるを得ない。このような不安を一日も早く終わらせるためにも、尹大統領を早急に弾劾し、局地戦誘導疑惑についてもきっちりと事実関係を究明しなければならない。 10日の国会国防委員会では、平壌への無人機投入作戦を計画していたとの疑惑が持たれている防諜司令部のイ・ギョンミン参謀長(司令官職務代理)が、この問題について「まったく知らない事実」だと述べた。だが、作戦実務を担ったとみられるキム・ヨンデ・ドローン作戦司令官は、「誰から指示されてどこから無人機を飛ばしたのか」というキム・ビョンジュ議員(共に民主党)の質問に「確認することはできない」と答え、疑問をさらに膨らませた。さらには、無人機と発射機を保管していた倉庫用コンテナで8日に火災が起きていたことを認めた。キム議員はこのことを根拠に「ドローン司令部は平壌に向けて無人機を飛ばし、現在証拠を隠滅している」との疑惑を提起した。 原点打撃についての答弁も疑わしい。合同参謀本部のイ・スンオ作戦本部長はひとまず、キム前長官から原点打撃について「指示されたことはない」と否認したが、合同参謀本部は「様々な作戦状況についての討議を常に随時実施している」として、この問題について議論がなされたことは否定していない。 政府は、今年5月末から「対北朝鮮ビラ」と「ごみ風船」が絶えず休戦ラインを行き来する危険千万な状況が続いているにもかかわらず、緊張緩和のための積極的な措置を取ってこなかった。尹大統領はむしろ「残酷な代価」、「政権の終末」などの好戦的な発言で北朝鮮を刺激するのに余念がなかった。ついには10月初めに平壌上空で「不審な無人機」が発見されたことを受けて北朝鮮は、同月13日に休戦ライン付近の砲兵部隊を射撃待機態勢に転換させるなど、強力な対応に乗り出した。あの時、北朝鮮が誤った判断をしていたなら、尹大統領は直ちに非常戒厳を宣布し、野党の政治家を除去していただろう。これこそ、尹大統領に軍統帥権を預けておけない理由だ。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )