【スクープ】ホンダV型3気筒「RCV850」を予想! RC211Vに連なる左右対称V3エンジンで軽量コンパクトを追求か
レースとは一線を画したスポーツモデルに期待
新V型3気筒モデルの完成車についてヒントはいくつかある。前述の加藤氏は「お客様からは“もうちょっと新価値が欲しいよね”と言われています」と語っており、大型ファンモデルの既存プラットフォームにはない価値を生み出すことを目的とした新型モデルになるはずだ。 ホンダの欧州での販売状況は好調で、CRF1100L、CB750ホーネット、NC750Xなどの並列2気筒エンジンとCB650Rなどの並列4気筒エンジンの計4つのプラットフォームが牽引している。新V型3気筒は第5の柱として位置づけられており、オリジナリティが重視されている。 アッパーミドルの3気筒ではヤマハのMT-09シリーズが欧州で地位を確立しており、ネイキッドやツアラー、スーパースポーツの新型YZF-R9までバリエーションを拡大。ホンダはこれに独自のV型3気筒+過給機で対抗するだろう。バイクでは世界初の例となり注目度も高い。 また、ヤマハが2025年からWSSPクラスにYZF-R9で参戦するのに対しホンダはCBR600RR、SBKにもCBR1000RR-Rを投入しており、新しいV3マシンはレースとは一線を画した自由度の高いコンセプトを選択できる。ヤマハより充実した商品布陣も「新価値」の提案に結びつくだろう。
V3エンジンは過去のGPマシンの技術を受け継ぐ
ホンダがV型3気筒を選択した理由は1983年にWGP500でタイトルを獲得し、市販車のMVX250FやNS400Rに採用された背景を受け継ぐことがまず考えられる。ホンダならではのオリジナリティを追求する上で重要な歴史遺産として価値を高める好材料だ。 技術面では、V3にしたのはエンジン内部の運動部を左右対称にできるからと推測できる。これはRC211VのV5エンジンで強調された特徴でカップリング振動を抑えることができるのだ。2010年のVFR1200FではV4でこの特徴を受け継いで発売された経緯もある。 また、75度という挟み角はRV211Vの75.5度に近く、一般的な90度V型4気筒よりもコンパクトにできる。RC211Vでは1次振動をキャンセルできる角度になっており、新しいV型3気筒でも1次振動を打ち消す工夫が施されている可能性があるだろう。 振動を抑えるバランサーを不要にする技術はパワーを追求するホンダの伝統でもあり、新V型3気筒マシンはこの特徴を受け継いでいることに期待したい。公開されたエンジンはケースにバランサーらしき張り出しも見当たらずコンパクト。振動を抑えるとエンジンやシャーシを軽量にできるのもメリットだ。